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平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問13を解説|アルミニウム溶湯の精製

平成30年度 ダイオキシン類特論 問13は、軽金属の合金をつくる工程のうち、溶けた金属をきれいにする段階について、そこで取り除かれる対象と使う薬剤を並べた短い文の中から誤りを探す問題です。下線を付した箇所のうち誤っているものを選びます。

この問題のポイント

文そのものは一行ほどですが、除去の対象が三つ、使う薬剤が二つ並んでいて、そのどれかがすり替えられています。判断の軸は、その薬剤で本当に相手を取り去れるのかという化学的な相性です。ガスとして抜けるもの、浮かせて掬えるもの、塩化物にして分離できるものは処理できますが、母材の金属に溶け込んで一体になっている元素は同じ手段では動かせません。ここを混同させるのがこの問題の狙いです。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

下線語句読み解き
(1)水素溶けた金属に取り込まれた水素は、鋳造時の巣の原因になります。気泡を吹き込んで水素を移し取るのが精製の主目的の一つです。
(2)非金属介在物酸化物などの固体粒子は気泡に付着して浮き上がり、表面に集めてから取り除けます。
(3)重金属類×(誤り) ここで抜けるのはナトリウムやカルシウムのような活性の高い軽い金属です。母材に溶け込んだ重い金属はこの操作では抜けません。
(4)粉体状フラックス粉末の塩類を投入して不純物を捕らえ、表面の浮きかすを扱いやすくまとめる働きをします。
(5)塩素ガス溶湯に吹き込むと気泡が水素を運び出し、同時に活性な金属を塩化物に変えて分離できます。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

この工程が相手にできるのは、気体として抜けるもの浮かせて掬えるもの、そして塩素と結びついて塩化物になり分離できるものの三種類です。吹き込まれた気泡は溶湯の中を上がりながら、そこに溶けていた水素を取り込んで運び去ります。固体の酸化物などは気泡の表面に張り付いて一緒に浮上し、表面の浮きかすとしてまとめられます。そして塩素は、アルミニウムより塩素と結びつきやすいナトリウムやカルシウムといった活性の高い金属を塩化物に変え、浮きかす側へ移します。

ところが、鉄や銅や亜鉛のような重い金属は事情が違います。これらはアルミニウムに溶け込んで合金の一部になっており、塩素と結びつく力もアルミニウムより弱いため、塩素を吹き込んでもアルミニウムより先に反応してはくれません。つまり溶湯の精製で重金属類まで除去できるという記述は成り立たないのです。実際の現場では、これらを減らす手立ては溶かす前の段階、すなわち原料となる金属くずの選別にしかありません。溶かしてから何とかなると考えるのは、この工程の限界を見誤ることになります。

そして、この工程がダイオキシン類の話題として登場する理由も塩素にあります。原料の金属くずには塗装やラベル、樹脂部品に由来する有機分が付いてきます。そこへ高温で塩素を供給するのですから、塩素と炭素と金属触媒がそろい、生成に好都合な条件が整うわけです。

覚え方

  • 溶湯の精製で抜けるのは水素・介在物・活性な軽い金属。重い金属は抜けない。
  • 気泡が運べるのは溶けたガスと、表面に付く固体粒子まで。
  • 塩素と結びつく力が母材より強い元素だけが塩化物になって分かれる。
  • 重金属を減らす手は入口の選別だけ。溶かした後には打つ手がない。
  • 塩素を使う高温工程は、有機分が入ればそのまま生成源になり得る。

理解度チェック

Q.

アルミニウム溶湯に塩素ガスを吹き込むと、何が除去できますか。

水素、非金属介在物、ナトリウムなどの活性な金属です。母材に溶け込んだ重金属類は除去できません。

Q.

この工程がダイオキシン類の発生源として扱われるのはなぜですか。

高温の溶湯に塩素を供給するからです。原料の金属くずに付いた有機分と組み合わさると、生成の条件がそろいます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF