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平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問11を解説|製鋼用電気炉と集じんダスト

平成30年度 ダイオキシン類特論 問11は、鉄スクラップをアークの熱で溶かして鋼をつくる設備について、装入物・操業の振れ幅・排ガス処理、そして捕まえた粉じんの中身を問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。

この問題のポイント

この炉は、天然の鉱石ではなく市中から集めた金属くずを原料にします。そのため、めっきや塗装、樹脂部品など、鉄以外のものが必ず混ざって入ってくることが最大の特徴です。溶かして精錬するまでの一連の作業がひとまとまりで区切られる操業なので、炉の中の状態は時間とともに大きく揺れます。引っかけの核心は、集めた粉じんの主成分の名指しにあり、この粉じんが何の資源として引き取られていくかを思い出せば一発で見抜けます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤理由
(1)○(正しい)炭素分の調整や補助燃料として、金属くず以外の炭材や油、樹脂類を投入する操業があります。
(2)○(正しい)装入から溶解、精錬、出鋼へと段階が進む区切り操業なので、温度もガスの中身も一定にはなりません。
(3)○(正しい)高温のガスを冷やしたうえで、ろ布で微細な粉じんを捕らえる方式が広く使われています。
(4)○(正しい)熱を伴う工業的な発生源では、酸素が一つのフラン骨格のほうが酸素二つのジオキシン骨格より多く生じるのが通例です。
(5)×(誤り)この粉じんの主成分は鉄と亜鉛の酸化物です。アルカリ金属を主成分とする記述が成り立ちません。

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

電気炉で捕まえた粉じんが何であるかは、それが亜鉛回収の原料として売られていく事実から逆算できます。原料の鉄スクラップには亜鉛めっき鋼板が大量に混じっており、亜鉛は鉄より低い温度で蒸発するため、溶解中に蒸気となって炉から出ていきます。冷えたところで空気に触れて酸化亜鉛の微粒子になり、飛び散った鉄の酸化物と一緒にろ布に捕らえられます。だから主成分は鉄と亜鉛の酸化物であって、アルカリ金属を主成分と述べるのは筋が通りません。ナトリウムやカリウムはスクラップに付着した汚れなどから微量に入るだけで、粉じんの骨格をなす成分ではありません。

ここを押さえておくと、次の設問である亜鉛回収炉の話にそのままつながります。粉じんに亜鉛が濃縮されているからこそ、専用の炉で還元して亜鉛を取り出す仕組みが成り立っているわけです。逆に、粉じんの中身を単なる鉄の粉と考えてしまうと、なぜ製鋼の廃棄物が非鉄金属の製錬に回るのかが説明できなくなります。この粉じんに樹脂由来の炭素分や塩素分も同居していることが、電気炉がダイオキシン類の発生源として扱われる理由でもあります。

覚え方

  • 電気炉ダストの主役は鉄と亜鉛の酸化物。だから亜鉛回収に回る。
  • 亜鉛は鉄より先に蒸発する。めっき鋼板が原料に入れば粉じん側へ移る。
  • 熱を使う発生源の排ガスは、フラン骨格がジオキシン骨格を上回るのが通例。
  • 区切り操業の炉は温度もガスも一定でない。測定は時間帯で値が変わる前提で読む。
  • 原料が市中の金属くずなら、塩素分と有機分の持ち込みは避けられない。

理解度チェック

Q.

製鋼用電気炉の集じんダストの主成分は何ですか。

鉄と亜鉛の酸化物です。亜鉛が濃縮されているため、亜鉛回収の原料として利用されます。

Q.

電気炉の粉じんに亜鉛が集まるのはなぜですか。

亜鉛が鉄より低い温度で蒸発するからです。めっき由来の亜鉛が蒸気になって炉外へ出て、冷えて酸化物の微粒子となり捕集されます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF