平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問10を解説|鉄鉱石焼結炉の排ガス
平成30年度 ダイオキシン類特論 問10は、製鉄の前段で粉状の原料を塊に焼き固める設備から出るガスについて、その組成と含まれるダイオキシン類の特徴を問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
この設備は、粉鉱石に燃料と副原料を混ぜて台車の上に敷き、表面に点火してから下向きに空気を吸い込み、燃焼帯を上から下へ移動させて塊にしていく仕組みです。したがってガスの正体は、混ぜ込んだ燃料が燃えた分と、それを通り抜けただけの大量の空気の混合物になります。引っかけの核心は二酸化炭素の出どころで、副原料として入っている石灰石にひきずられると、燃料が燃えているという当たり前の事実を見失います。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 二酸化炭素の大半は、原料に混ぜた粉コークスが燃えて生じたものです。石灰石の分解でも出ますが、そちらが大部分にはなりません。 |
| (2) | ○(正しい) | 燃えている層は原料層のごく一部で、残りの空気はほとんど反応せずに通り抜けるため、酸素は空気に近い高めの濃度で残ります。 |
| (3) | ○(正しい) | 焼成が進んだ後半で濃度が高まり、硫黄酸化物と足並みをそろえて変化します。層内で下へ運ばれた成分がまとめて出てくるためです。 |
| (4) | ○(正しい) | 毒性等量への寄与という見方をすると、毒性等価係数の大きいフラン類の一異性体が主役になります。 |
| (5) | ○(正しい) | コプラナーPCBも毒性等量に加わりますが、この発生源では主役ではなく一部を占めるにとどまります。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
焼結の熱源は、原料に混ぜ込む粉コークスです。点火した表面から燃焼帯が下へ降りていき、その熱で粉鉱石の表面が部分的に溶けて互いにくっつき、塊になります。つまりこの設備は炭素を燃やして熱を得る燃焼装置そのものであり、出てくる二酸化炭素の大半は炭素の燃焼に由来します。石灰石は塩基度を調整する副原料として入っていて、加熱されれば分解して二酸化炭素も出しますが、それが排ガス中の二酸化炭素の大部分を占めるという因果は成り立ちません。熱を出す側と、熱をもらって分解する側を取り違えているのが誤りの正体です。
この炉がダイオキシン類の発生源として扱われるのも、燃焼装置だからです。層の中には炭素、塩素分、そして触媒として働く金属分がそろい、しかも燃焼帯を外れた部分には温度が下がった領域が広がっています。高温で燃やしているから安全だと考えるのは早計で、原料層の下側では冷えたガスと粉じんが接し、生成に都合のよい温度帯を通過します。酸素濃度が高いこととあわせて、燃焼の完結度だけでは説明しきれない発生源だと理解しておくと、他の設問にも応用が利きます。
覚え方
- 焼結炉の熱源は原料に混ぜた粉コークス。二酸化炭素は燃焼由来が主で、分解由来は脇役。
- 下向きに空気を吸い込む方式だから、排ガスの酸素は空気に近く高い。
- 焼成の後半で立ち上がる成分は、硫黄酸化物と同じ動き方をする。
- 毒性等量の主役は濃度が高い成分ではなく、係数が大きい成分。
- 石灰石は塩基度調整の副原料。燃料ではない。
理解度チェック
鉄鉱石焼結炉の排ガス中の二酸化炭素は、主に何から生じますか。
原料に混ぜた粉コークスの燃焼です。石灰石の分解でも生じますが、大部分を占めるのは燃焼のほうです。
この炉の排ガスで酸素濃度が高めになるのはなぜですか。
吸い込んだ空気の大半が反応せずに通り抜けるからです。燃えているのは原料層の一部の帯だけで、残りの空気がそのまま排ガスになります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月