平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問8を解説|触媒フィルターの捕集は表面
平成30年度 ダイオキシン類特論 問8は、ばいじんのこし取りと有害物質の分解を一枚の布で兼ねる資材について、その作りと実証結果を述べた文章を示し、下線を引いた五か所から誤りを一つ選ばせる問題です。
この問題のポイント
この資材の肝は、通すものと通さないものをはっきり分けている点にあります。細かな孔の開いた膜を外側にまとわせることで、粒はそこで止まり、気体の分子だけが奥へ進みます。奥には触媒を仕込んだ繊維の層があり、通り抜けた分子はそこで壊されます。引っかけの核心は、膜をかぶせるという記述と、粉じんを内側で受け止めるという記述が、同じ文の中で両立しないところにあります。膜で覆うのは奥へ入れないためであり、内側で捕まえるのなら膜をかぶせる意味がなくなります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている箇所)
各選択肢の正誤
| 下線 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 触媒の働きを持たせた繊維を綿状に絡ませ、厚みのある層に仕立てます。この層の厚みが、分解に要する接触の場を稼いでいます。 |
| (2) | ○(正しい) | 熱にも薬品にも強く、ものが貼り付きにくい樹脂で、微細な孔を無数に開けた膜として使われます。粒を止めつつガスは通すという役割にかないます。 |
| (3) | ×(誤り) | 正しくは表面です。膜をまとわせた構造は、ばいじんを奥へ入れず外側で受け止めるためのもので、内部で受け止める作りではありません。 |
| (4) | ○(正しい) | 触媒が働くだけの熱を確保しつつ、繊維でできた層が耐えられる範囲に収まる温度帯です。実証試験の運転条件として無理のない値です。 |
| (5) | ○(正しい) | 処理の成果を示す量なので、装置を出たあとの濃度で語るのが筋です。入る前の濃度をどれだけ下げても成果の証しにはなりません。 |
下線(3)のポイント(ここが誤り)
誤りは、膜をかぶせる目的と正反対のことを述べている点にあります。細かな孔の開いた膜を外側に張るのは、粉じんを層の奥へ立ち入らせないためです。粒が膜の上で止まれば、たまった粉じんは膜ごと払い落とすだけで簡単に離れます。ところが粉じんが繊維の奥へ潜り込むと、払い落としでは抜けません。抜けない粉じんは通気の抵抗を押し上げ、さらに触媒の細かな孔をふさいで分解の働きまで削っていきます。内部で受け止めるという状態は、この資材にとって性能の説明ではなく、故障の説明にあたります。
一方で、有害物質の分子はガスとして膜の孔をくぐり抜け、奥の層に散らばった触媒に触れて壊されます。粒は通さず表面で、ガスは通して内部でという役割分担が、この一枚の資材にこし取りと分解の二役を持たせている仕掛けです。前の問で確かめたとおり、粒の内側に抱き込まれた分子は触媒では壊せません。だからこそ、粒はそもそも奥へ入れず表面で止めてしまい、触媒には気体の分子だけを相手にさせる。設計の筋がここで一本につながります。
覚え方
- 膜で覆ったろ材は表面でこし取る。ばいじんは膜の上、ガスは膜の中
- 奥へ潜り込んだ粉じんは払い落としで抜けない。通気抵抗の上昇と触媒の目詰まりを招く。
- この資材は除じんと分解の二役。分解の相手はあくまで気体の分子だけ。
- ものが貼り付きにくい樹脂の膜は、払い落としの軽さそのものが性能になる。
- 処理の成果は出口の濃度で語る。入口の値では効果を示せない。
理解度チェック
ろ材の外側に細かな孔の膜を張るのは何のためですか。
ばいじんを層の奥へ入れず、表面で止めるためです。表面で止まれば払い落としで容易に除け、通気抵抗の上昇を抑えられます。
この資材は、ばいじんと有害物質をそれぞれどう扱いますか。
ばいじんは表面で止め、ガス状の分子は通して内部の触媒で分解します。通すものと通さないものを分けているのが仕組みの核心です。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月