平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問6を解説|ため水式スクラバーとガス速度
平成30年度 ダイオキシン類特論 問6は、水でばいじんを洗い落とす集じん装置、とりわけ槽に液をためたまま排ガスをくぐらせる形式について、その仕組みと後始末を述べた記述の正誤を問う問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
水で捕まえる装置の成績は、粉じんと液が何回、どれだけ細かい単位で出会うかで決まります。液を細かい飛沫にできるほど、同じ水量でも表面積が増え、小さい粒子にも当たるようになります。ではその飛沫を作っているのは何かというと、外から与える機械的な力ではなく、通り抜けるガス自身の勢いです。引っかけの核心は、この因果の向きを逆に述べた一文にあります。ゆっくり通したほうがよく捕れるという言い方は、洗浄集じんの成り立ちとまるで噛み合いません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 液を滴にするか膜として広げるかで、粉じんと液が出会う機会の作り方が変わります。形式ごとに構造上の工夫が凝らされているのはそのためです。 |
| (2) | ○(正しい) | 液を室内にたたえておき、そこへ含じんガスを通す構成そのものが、この形式の定義にあたります。 |
| (3) | ×(誤り) | 向きが逆です。液面を叩いて細かい飛沫を大量に生むのはガスの勢いであり、速度を落とせば液面は静まって飛沫が減り、成績も落ちます。 |
| (4) | ○(正しい) | 洗浄のために作った飛沫は、そのままガスに乗って出口へ運ばれます。粉じんを含んだ液滴を外へ出さないため、後段に分離器が要ります。 |
| (5) | ○(正しい) | 液を流し続けるのではなく、たまった液を使い回す形式なので、蒸発と持ち出しの分を足す程度の補給で運転できます。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
この形式では、槽にたたえた液の面へガスが勢いよくぶつかり、その衝撃で液が巻き上げられて飛沫と液膜になります。つまり飛沫を作る仕事をしているのはガスの運動エネルギーであり、通し方をゆるめれば液面は静かなままです。液面が静かであれば、粉じんが液と出会うのは水面に接した薄い層だけになり、細かい粒子は液に触れないまま素通りします。したがって速度を下げるほど成績が上がるという記述は、因果が反対を向いています。
この関係は、同じ問題の中の別の記述とも噛み合います。洗浄後のガスに液滴が多く同伴するから出口に分離器を置く、という説明は、運転中に大量の飛沫が生まれていることが前提です。もし速度を落として静かに通すのが良い運転なら、そもそも同伴する飛沫は問題になりません。二つの記述を並べて読めば、どちらか一方しか成立しないことが分かります。もっとも、速度を上げれば良いことばかりというわけではなく、通気の抵抗が増えて送風機の動力がかさみ、持ち出される液も増えます。よく捕れる運転はよく圧力を食うという、集じん装置に共通の関係がここにも現れています。
覚え方
- 洗浄集じんの成績は水滴の細かさと数で決まる。飛沫を作っているのはガスの勢い。
- 集じん率と圧力損失は同じ向きに動く。よく捕れる運転はよく圧を食う。
- 水を使えば必ず飛沫が出る。出口のミスト分離器は付属品ではなく必需品。
- 液をためて循環させる形式は補給水が少ない。その代わりたまった粉じんの引き抜きが要る。
- 速度を下げれば性能が上がる、と読める記述は因果の向きを疑う。
理解度チェック
槽の液から細かい飛沫を作り出しているのは何ですか。
通り抜けるガスの勢いです。液面に叩きつけられたガスが液を巻き上げ、飛沫と液膜をつくります。
出口側にミスト分離装置を置くのはなぜですか。
粉じんを取り込んだ液滴がガスに同伴して出ていくからです。分離しないまま放出すれば、捕まえた粉じんを外へ運び出すことになります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月