平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問5を解説|乾式電気集じん装置の得手不得手
平成30年度 ダイオキシン類特論 問5は、粉じんに電気を帯びさせて電極へ引き寄せる仕組みの装置を、水を使わない乾いた状態で運転する場合の得手不得手を並べた記述の正誤を問う問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この装置は力ずくで粉じんをこし取るのではなく、電気の力を借りて引き寄せます。そのため、扱う粉じんが電気をどう通すか、電極に触れたあとどう振る舞うかによって、成績が大きく左右されます。他の四つは、火花が飛ぶ装置ゆえの制約、電気を通しすぎる粉じんで起きる困りごと、苦手な粒径帯、そして必要な滞留時間という、いずれも性質上の限界を素直に述べたものです。引っかけの核心は、制約はこの二つだけだと数え上げてしまう一文にあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 高い電圧をかけて放電させる装置なので、内部には常に着火源があります。燃えたり爆発したりする相手には向けられません。 |
| (2) | ○(正しい) | 電気を通しやすい粒子は、電極に触れた瞬間に電荷を手放して同じ極性に帯電し、反発して跳ね返されます。捕まえたそばから飛び出す状態です。 |
| (3) | ○(正しい) | 大きい粒には電界による荷電が、極端に小さい粒には気体分子の衝突による荷電がよく効きます。その中間の粒径帯はどちらの効きも弱く、成績が落ち込みます。 |
| (4) | ×(誤り) | 電気の通しにくさと燃えやすさ以外にも、粒径の分布、付着のしやすさ、湿り気など運転を左右する性状が数多くあります。制限がこの二つに尽きるとは言えません。 |
| (5) | ○(正しい) | 粒子に電荷を与え、電極まで泳がせるには時間が要ります。ガスをゆっくり通し、秒の単位で滞留させる設計になります。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
誤りは、制約を二つに限定して言い切ったところにあります。まず、粉じんの電気の通しにくさは、低すぎても高すぎても困る両刃の性質です。通しやすければ電極上で跳ね返され、逆に通しにくければ電極に積もった層が電荷を抱え込んだまま放電を始め、積もった層の中で逆向きの放電が起きて集じん率が落ちます。つまりこの一項目だけでも、下限と上限の両方に注意が要ります。
その上で、実際の運転を左右する性状はほかにも並びます。同じ選択肢群の中に、苦手な粒径帯があることが明記されていますから、粒径の分布もまた制限のひとつだと問題文自身が示しています。加えて、電極に固く貼り付く性質の粉じんは打ち落としても剥がれず、たまり続けて放電を乱します。水膜のない乾いた運転では、いったん落とした粉じんが再び舞い上がる問題も避けられません。これ以外に制限はないと閉じる言い方そのものが、この装置の性格に照らして成り立たないわけです。制限はない、例外はない、と断言する選択肢はまず疑ってかかるのが、この型の設問の定石でもあります。
覚え方
- 電気で捕まえる装置は相手を選ぶ。電気を通しやすすぎれば跳ね返り、通しにくすぎれば逆向きの放電。
- 内部に火花がある装置。爆発性のガスや燃えやすい粉じんには使わない。
- 荷電の効き方は粒径で二系統。大きい粒は電界で、極小の粒は分子の衝突で。中間が谷になる。
- 電荷を与えて泳がせるには時間が要る。ガスは遅く、滞留は秒単位。
- 制限はない、例外はないと言い切る記述は、まず疑ってかかる。
理解度チェック
電気を通しやすい粉じんで集じん率が落ちるのはなぜですか。
電極に触れた瞬間に電荷を失って反発するからです。同じ極性に帯電し直して跳ね返され、ガスの流れに戻ってしまいます。
この装置で中間の粒径帯だけ成績が落ちるのはなぜですか。
二つの荷電のしくみがどちらも効きにくい領域だからです。大きい粒に効く電界による荷電と、極小の粒に効く分子の衝突による荷電の、ちょうど谷間にあたります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月