平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問4を解説|ろ布の材質と耐熱性
平成30年度 ダイオキシン類特論 問4は、布でばいじんをこし取る集じん装置について、ろ材に使われる素材、袋に仕立てるときの形、そして備えておきたい性能を並べた記述の正誤を問う問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この装置の設計で最初に決まるのが、処理するガスの温度です。温度が決まればろ材の候補はほぼ絞られ、そこから粉じんの性状や薬品への強さで細かく選び分けていきます。四つの記述は素材の幅、袋の形、要求される性能、特殊用途の工夫を順に述べており、いずれも実務の常識どおりです。引っかけの核心は、素材名と温度をもっともらしく並べた一文にあります。熱を加えると軟らかくなって溶ける樹脂が、高温の排ガスを受け持ってきたかのように書かれている点に気づけるかどうかが分かれ目になります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 植物由来のものから人工の繊維、金属の繊維まで幅広く使われ、糸を織った布のほか、繊維を絡ませたものや粉末を焼き固めたものも用途に応じて選ばれます。 |
| (2) | ○(正しい) | 限られた箱の容積に、できるだけ広いろ過面積を詰め込むための形です。筒状に縫うか、平たい袋状にするかで枚数と据え付け方が変わります。 |
| (3) | ○(正しい) | よく捕れることだけでは装置は成り立ちません。通気の抵抗、たまった粉じんの落としやすさ、熱と薬品への強さ、破れにくさ、そして交換までの寿命が同時に求められます。 |
| (4) | ×(誤り) | ポリエチレンは加熱すると軟化し溶けてしまう汎用の熱可塑性樹脂で、この温度域では糸の形も袋の形も保てません。高温側を受け持ってきた素材ではありません。 |
| (5) | ○(正しい) | 酸と熱に耐えさせたい場合と、たまった電荷を逃がしたい場合とで、織り込む繊維の狙いが違います。後者は電気を通す繊維を混ぜて帯電を抜く工夫です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
誤りの核心は、素材の性格と使用温度がまるで噛み合っていない点にあります。ポリエチレンは、熱を加えると軟らかくなり、さらに上げれば溶けて流れる熱可塑性樹脂の代表格です。日用品の袋や容器に使われることからも分かるとおり、熱に強い素材として選ばれる立場にはありません。ここで示された温度は、この素材が形を保っていられる範囲をはるかに超えており、袋が変形するどころか繊維そのものが融着して通気が失われます。
ろ材選びの原則は単純で、温度が上がるほど有機の繊維は候補から外れていくという一方通行です。ふつうの合成繊維で足りるのは温度の低い領域だけで、そこから上は繊維そのものが燃えも溶けもしない無機系や金属系の素材が受け持ちます。この問題では最後の記述が、酸と熱に耐えるための繊維や、電気を逃がすための金属繊維を挙げており、高温域や難しい粉じんを扱う側の答えがそこに示されています。身近な樹脂の名前が高い温度と並んでいたら、まず疑うという読み方が、この型の設問では有効です。
覚え方
- ろ材選びは温度が第一関門。有機の繊維は低温側、無機と金属の繊維が高温側。
- 熱可塑性樹脂は加熱で軟化して溶ける。高温の排ガスとは相性が悪い。
- 袋の形は筒か平袋。狭い容積に広い面積を詰め込むための答え。
- ろ布に求めるのは捕集力だけでない。低い通気抵抗、落としやすさ、耐熱、耐薬品、強度、寿命。
- 粉じんが帯電して離れないなら、電気を通す繊維を織り込んで逃がす。
理解度チェック
処理ガスの温度が高くなると、ろ材の候補はどう変わりますか。
有機の繊維が使えなくなり、無機系や金属系へ移るという一方通行の変化です。温度が上がるほど選べる素材の幅は狭くなります。
ろ布に電気を通す繊維を織り込むのは何のためですか。
粉じんが帯びた電荷を逃がすためです。電気を通しにくい粉じんは布に強く貼り付き、払い落としが効きにくくなります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月