1. HOME
  2. 過去問解説
  3. ダイオキシン類特論
  4. 平成30年
  5. > 問3 燃焼段階でのダイオキシン類抑制

平成30年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問3を解説|燃焼段階でのダイオキシン類抑制

平成30年度 ダイオキシン類特論 問3は、焼却炉の運転や排ガスの扱いを工夫して有害物質の発生を減らす手立てを五つ並べ、その中に紛れ込んだ逆効果の操作を見つけさせる正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

並んでいる手立ては、大きく二つの狙いに分かれます。ひとつは炉の中で作らせないこと、もうひとつは炉を出たガスの中で作り直させないことです。前者には燃料を燃えやすく整えることや、材料になる元素を持ち込まないことが含まれ、後者には温度の管理と冷やし方が含まれます。引っかけの核心は、勢いよく燃えている様子を良い燃焼だと取り違えるところにあります。煙が黒いということは酸素が足りていないという一点さえ押さえれば、五つのうち一つだけが明らかに逆を向いていることに気づけます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)処理装置の温度を低く抑える管理です。いったん分解した成分は、ある温度域に長くとどまると飛灰の上で組み直されるため、下流側を冷やしておくことが再合成を止める基本になります。
(2)○(正しい)再合成が進む温度帯を短時間で通り抜けさせる操作です。同じ温度まで下げるにしても、ゆっくり冷ますほど反応に使える時間を与えてしまいます。
(3)×(誤り)黒い煙は酸素が届いていないしるしであり、抑制ではなく促進の側にある条件です。目指すべきは、煙の見えない完全燃焼に近い運転です。
(4)○(正しい)水分を抜き、大きさをそろえ、性状のばらつきを均すほど、炉内の温度が落ち込みにくくなり、燃え残りが減ります。前処理は燃焼を安定させる直接の手段です。
(5)○(正しい)塩素は分子骨格に欠かせない材料です。持ち込む量そのものを減らせば、後段でどれだけ条件がそろっても作りようがありません。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

黒煙の正体は、燃えきれずに残った炭素の粒です。炎から黒い煙が上がっているとき、炉の中では燃料の出す可燃分に対して酸素が決定的に不足しています。この状態では、有機物が完全に二酸化炭素と水まで分解されず、炭素と水素と塩素を抱えたままの断片が大量に残ります。断片が残るということは、下流で組み立て直すための部品が排ガスに供給されているということであり、抑制とは正反対の運転にあたります。

さらに厄介なのが、すすや未燃炭素そのものが反応の足場になる点です。飛灰に含まれる金属分が触媒のように働き、炭素の表面で塩素と結び付いた分子が組み上がっていきます。燃え残りを排ガスに乗せて下流へ送ることが、再合成の材料と土台を同時に供給することになるわけです。したがって正しい方向は、十分な温度、十分な滞留時間、空気とのよい混合という三つをそろえて燃やしきることであり、他の四つの選択肢はいずれもこの方向か、その後始末を確実にする操作に当たります。黒煙を上げる運転だけが、五つの中で唯一この流れに逆らっています。

覚え方

  • 抑制は二段構え。炉の中では作らせない、炉の外では作り直させない
  • 燃やし切る条件は、十分な温度・十分な滞留時間・よい混合の三点セット。
  • 黒煙、すす、一酸化炭素はすべて同じ側の危険信号。見た目の勢いは良し悪しの根拠にならない。
  • 材料は塩素、土台は未燃炭素と飛灰、必要なのは反応時間。どれか一つを断てば作られない。
  • 冷やすなら一気に。ゆるやかな降温は反応時間を与えるのと同じ。

理解度チェック

Q.

排ガスを急いで冷やすことが抑制になるのはなぜですか。

再合成が進む温度帯に留まる時間を短くできるからです。同じ温度まで下げても、ゆっくり冷ませば反応に使える時間を与えてしまいます。

Q.

燃料の前処理が、なぜ有害物質の抑制につながるのですか。

炉内の温度と燃焼を安定させ、燃え残りを減らせるからです。水分を抜き大きさをそろえるほど、局所的な酸素不足が起きにくくなります。

平成30年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF