平成30年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問7を解説|石油製品の品質改善
平成30年度 大規模大気特論 問7は、燃料そのものの中身を改めることで進められてきた大気汚染防止対策を扱った正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
排出口に装置を付ける対策と違い、燃料の品質改善は使う側の設備を選ばずに効いてくるのが強みです。ガソリンから鉛を抜いた無鉛化、軽油やガソリンの硫黄分を極限まで削ったサルファーフリー化、発がん性のあるベンゼンの上限設定、そしてバイオマス燃料を受け入れるための法整備と、対策は成分ごとに積み重ねられてきました。この問題の引っかけは中身の順序ではなく数値の付け替えにあります。硫黄分について語られる水準を、そのままベンゼンの規制値として差し出しており、成分と数値の対応を覚えていないと素通りしてしまいます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | ガソリンの無鉛化は昭和40年代後半から50年代前半に進められました。鉛による大気汚染をなくした対策として正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | ガソリン中のベンゼン含有率の規制値は1容量%以下です。10 ppm(0.001質量%)は硫黄分について語られる水準で、成分の取り違えです。 |
| (3) | ○(正しい) | 平成17年以降、硫黄分10 ppm(0.001質量%)以下のサルファーフリー軽油の販売が始まりました。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | バイオマス燃料の導入を受けて平成19年に品確法が改正されました。二酸化炭素削減を狙った制度整備として正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 重質油脱硫装置で処理した低硫黄の基材を混ぜ、需要家が求める硫黄分の重油に調合して供給します。実際の運用どおりです。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
ガソリンに含まれるベンゼンは、発がん性が知られている有害な成分で、上限が定められています。その規制値は1容量%以下という水準であって、選択肢が持ち出した10 ppm(0.001質量%)以下ではありません。桁でいえば三桁ほど違う値を当てはめており、これがこの問題の誤りです。
では10 ppmという値はどこから来たかというと、同じ石油製品の品質改善でも硫黄分の話です。硫黄分10 ppm(0.001質量%)以下に抑えた燃料はサルファーフリーと呼ばれ、選択肢(3)にあるとおり軽油についてこの水準の販売が始まっています。つまり出題者は、硫黄分の水準をそのままベンゼンの規制値として置き換えるという作りで、成分と数値の対応があいまいな受験者を狙っています。
整理のコツは、単位まで含めて成分ごとに覚えてしまうことです。ベンゼンは容量%という比較的大きな単位で語られる成分、硫黄分はppmという極小の単位まで削り込まれた成分、という区別を付けておけば、両者を入れ替えた記述は単位を見ただけで違和感に気づけます。硫黄分をここまで下げているのは、排出ガス後処理装置の触媒が硫黄で機能を落とすのを防ぐためでもあり、燃料側の品質改善と車両側の対策が組みで進んできた経緯とも結び付けて理解できます。
覚え方
- ベンゼンは容量%、硫黄分はppm。単位が違えば別の成分と判断する。
- ガソリン中のベンゼンの上限は1容量%以下。
- サルファーフリー=硫黄分10 ppm(0.001質量%)以下。数値を見たら硫黄を疑う。
- 鉛はガソリンから抜く(無鉛化)、硫黄は極小まで削る、ベンゼンは上限を定める。成分ごとに対策の型が違う。
- 重油は低硫黄基材の調合で、需要家が求める硫黄分に合わせて供給する。
理解度チェック
ガソリン中のベンゼン含有率の規制値はどの水準か。
1容量%以下です。10 ppm(0.001質量%)という値は硫黄分について語られる水準で、ベンゼンのものではありません。単位が容量%かppmかで見分けられます。
サルファーフリー軽油とは、何をどこまで下げた軽油か。
硫黄分を10 ppm(0.001質量%)以下まで下げた軽油です。平成17年以降に販売が始まり、粒子状物質の低減と、排出ガス後処理装置の機能確保に効いています。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月