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平成30年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問6を解説|長期平均濃度分布の計算

平成30年度 大規模大気特論 問6は、起伏のない地域にある煙源について、長い期間をならした濃度の分布をどう求めるかを扱った穴埋め・組合せ問題です。正しいものを選びます。

この問題のポイント

一日や一時間といった短い時間の濃度は、そのときどきの風の気まぐれに強く振り回されます。ところが年間や季節といった長い期間でならすと、風の向きごとの出やすさという安定した傾向が残り、計算でも追いかけやすくなります。長期平均濃度の計算は、この性質を利用して、風向ごとに濃度を出し、その風向がどれくらいの割合で吹くかを重みとして足し合わせる手順を踏みます。分かれ目になるのは、その重みのもとになる風向データの刻みの細かさと、一つの刻みの内側をどう扱うかの二点で、選択肢はここに数字違いと処理違いを混ぜてきています。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)

空欄に入る正しい語句

空欄入る語句読み解き
向上する平均化時間を長くとるほど短時間の乱れがならされ、予測値と実測値は近づきます。短時間の値ほど当たりにくく、長期平均ほど当たりやすい、という向きです。
16方位我が国の風向データは16方位の刻みで与えられます。この刻みがそのまま計算に使う風向セクターの区切りになります。
一様と仮定一つのセクターの内側では風向のばらつきを一様とみなして濃度を求め、そこにその風向の出現確率を掛け合わせます。

ここが分かれ目

取り違えの本命は空欄イです。方位の刻みには東西南北の4方位、北東や南西を加えた8方位、さらに北北東や東南東まで刻んだ16方位がありますが、気象官署が公表する風向データとして使われるのは16方位です。選択肢には東西南北8方位が混ぜられていますが、この刻みでは一つのセクターが広くなりすぎ、風下方向の見当が大まかになって濃度分布が現実とずれてしまいます。16方位なら一つのセクターが受け持つ角度は十分に狭く、風向別の出現確率とも素直に対応します。

次に効くのが空欄ウです。同じ風向として記録された時間帯でも、実際の風はそのセクターの中で細かく振れています。長期平均を求めるときは、この振れ方をいちいち追わず、セクター内では風向が一様に散っているとみなして濃度をならします。ここに乱数により決定という語を入れる選択肢がありますが、長期平均濃度の計算で目指しているのは風向別の出現確率という統計を素直に使うことであり、方向をその都度くじ引きで決めるような扱いはしません。

空欄アは、長期平均という前提そのものから決まります。短い時間で切り取った濃度は、そのときの風のわずかな向きの違いで大きく上下しますが、期間を長くとればその上下は打ち消し合います。したがって平均化時間を長くとるほど予測値と実測値の一致度は向上する方向に動きます。低下するとある選択肢は、この節が長期平均を扱う話であること自体と噛み合いません。

覚え方

  • 平均化時間が長いほど当たる。短時間濃度は外れやすく、長期平均は合いやすい
  • 我が国の風向データの刻みは16方位。8方位や東西南北ではない。
  • セクターの中は一様と仮定してならし、風向の出現確率を重みとして掛ける。
  • 長期平均の計算に乱数は使わない。使うのは風向別の出現確率という統計。

理解度チェック

Q.

長期平均濃度の計算で使う、我が国の風向データの刻みは何方位か。

16方位です。この刻みがそのまま風向セクターの区切りとなり、各セクターの濃度に風向の出現確率を掛けて足し合わせます。8方位や東西南北ではセクターが広すぎます。

Q.

濃度の平均化時間を長くとると、予測値と実測値の一致度はどうなるか。

向上します。短い時間の濃度はその場の風の振れで大きく上下しますが、期間を長くとるとその振れが打ち消し合い、風向別の出現確率という安定した傾向で説明できるようになるためです。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF