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平成30年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問7を解説|クロメート排水の還元剤とアルカリ剤の取り違え

平成30年度 大規模水質特論 問7は、鋼板の表面を仕上げる一連の工程と、そこから出る水の始末についての正誤問題です。不適切なものを選びます。

この問題のポイント

鋼板は圧延しただけでは製品になりません。油分を落とし、めっきを施し、さびを防ぐ被膜を付けるという順で仕上げられ、それぞれの工程の後に水洗が入ります。設問はこの流れに沿って、どの工程からどんな汚れが出て、どう処理するのかを並べています。四つは工程と処理の対応をそのまま述べたものです。引っかけの核心は一点で、薬品の名前は正しいのに、その薬品が担う役割が別の工程のものにすり替わっているところにあります。有害な形の金属をまず害の少ない形に変え、そのうえで沈めるという二段構えを思い出せるかどうかが分かれ目です。段の順番と、それぞれの段で入れる薬品の性格を結び付けて覚えていれば、迷わず選べます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(不適切な記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(適切)電気を流して油分を落とす工程では洗浄剤を使うため、その成分が有機物汚濁として残ります。
(2)○(適切)六価クロムは水によく溶けた陰イオンの形で存在し、そのままでは沈みません。
(3)×(不適切)挙げられているのはいずれもアルカリ剤で、クロムの価数を下げる働きはありません。
(4)○(適切)微細でゲル状の水酸化物には高分子凝集剤を加え、沈みやすい大きなフロックに育てます。
(5)○(適切)亜鉛めっき面に化成被膜をつくり、白いさびの発生を抑えるのがクロメート処理です。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

六価クロムを含む排水の処理は、必ず還元と中和沈殿の二段構えになります。前段では、水に溶けた陰イオンのままでは沈められない六価クロムを、沈殿をつくれる三価クロムへ変えます。ここで働くのが還元剤で、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸系の薬品や、硫酸第一鉄といった二価鉄の塩が使われます。この反応は酸性側でよく進むので、前段では硫酸を加えて液性を酸性に寄せるのが定石です。後段では、三価に変わったクロムを水酸化物として沈めるために、アルカリを加えて中和します。水酸化ナトリウムや消石灰、水酸化マグネシウムが登場するのはこの後段であって、還元を担う薬品ではありません

この肢は、後段で使うアルカリ剤を前段の役割にすり替えています。もしアルカリだけを入れて済ませたらどうなるかを考えると、誤りの重さがはっきりします。六価クロムはアルカリを加えても水に溶けたままで、価数が変わらないかぎり沈殿はできません。つまり還元の段を飛ばした処理では、有害な形のクロムがそのまま処理水に残ることになります。工程の順序を取り違えることが、そのまま有害物質の流出につながる典型例です。

工程から処理までを一本につないでおくと記憶に残ります。仕上げの最終段でさびを防ぐために付けるのがクロム系の被膜で、その水洗水に六価クロムが出てきます。これをまず還元して三価に落とし、次にアルカリで中和して水酸化物にします。できた水酸化物はゲル状で細かく、そのままでは沈降が遅いため、高分子凝集剤で粗大なフロックに育ててから沈殿池に送ります。還元剤、アルカリ剤、凝集剤という三種類の薬品が、それぞれ価数を下げる・沈殿をつくる・沈みやすくするという別々の役割を持っている、という並びで整理してください。

覚え方

  • 六価クロムは還元してから中和沈殿。還元を飛ばすと沈まない。
  • 還元剤は亜硫酸系や二価鉄の塩。還元は酸性側で進めるので前段は酸を加える。
  • 水酸化ナトリウム・消石灰・水酸化マグネシウムはアルカリ剤。役割は後段の中和沈殿。
  • 薬品名を覚えるときは、価数を下げる・沈める・大きくするのどれを担うかとセットにする。
  • ゲル状で細かい水酸化物には高分子凝集剤。粗大フロックにして沈降速度を稼ぐ。

理解度チェック

Q.

六価クロムを含む排水を、アルカリの添加だけで処理できないのはなぜか。

六価クロムは水に溶けた陰イオンの形で存在し、アルカリを加えても価数が変わらないため沈殿をつくれないからです。まず還元剤で三価へ落とし、そのうえで中和して水酸化物として沈めます。

Q.

中和で生じた重金属の水酸化物に高分子凝集剤を加えるのは何のためか。

生じた水酸化物がゲル状の微細な粒子で沈みにくいためです。高分子凝集剤で粒子どうしを橋渡しして粗大なフロックに育てると、沈降速度が上がり固液分離が確実になります。

この問題に関連する用語解説

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF