平成30年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問6を解説|濃縮倍率の分母に蒸発水は入らない
平成30年度 大規模水質特論 問6は、開放循環式冷却水系の濃縮倍率を求める計算問題です。
この問題のポイント
この問題は、蒸発した水は塩分を置いていくという一点を押さえていれば割り算ひとつで解けます。分かれ目は分母に蒸発水量を入れてしまわないかです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(2.5)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 1.0。濃縮が起きていないことになり、開放循環式の前提と合いません。 |
| (2) | × | 1.5。分母の取り方を誤ると、この付近の値になります。 |
| (3) | × | 2.0。分母に蒸発水量まで入れると、この値に落ちます。 |
| (4) | ○ | 2.5。補給水量を、飛散とブローの合計で割った値と一致します。これが正解です。 |
| (5) | × | 3.0。補給水量の求め方を誤ると、この付近に寄ります。 |
計算の手順と分かれ目
まず補給しなければならない水の量を出します。系から失われるのは蒸発・飛散・ブローの3つなので、これらを足した2.0%が補給水量です。
次が要点です。濃縮倍率は補給水に含まれて入ってくる塩分が、系内で何倍に濃くなるかを表します。塩分を系の外へ持ち出すのは、水を液体のまま連れ出す飛散とブローだけです。蒸発した水は塩分を系内に置いていくので、いくら蒸発しても塩分は出ていきません。したがって分母は飛散とブローの合計0.8%となり、2.0を0.8で割って2.5が得られます。
間違い方も理屈で予測できます。分母に蒸発水量まで入れてしまうと、2.0を2.0で割ることになって1.0、つまり「まったく濃縮しない」という答えになります。これは水を蒸発させて冷やしているのに塩分が濃くならないという話で、スケール対策としてブロー量を管理するという運転の考え方そのものと矛盾します。ブローを絞れば濃縮倍率は上がり、水は節約できる代わりにスケールや腐食のリスクが増える、という関係も式から読み取れます。
覚え方
- 濃縮倍率=補給水量 ÷(飛散+ブロー)。分母に蒸発は入れない。
- 理由は蒸発した水は塩分を置いていくから。塩分を運び出すのは液体のまま出る水だけ。
- 補給水量=蒸発+飛散+ブロー。失う分をすべて足す。
- ブローを絞れば濃縮倍率は上がる。節水とスケール・腐食リスクは裏表。
理解度チェック
濃縮倍率の分母に蒸発水量を入れてはいけないのはなぜですか。
蒸発した水は塩分を系内に置いていくからです。塩分を系外へ持ち出すのは、水を液体のまま連れ出す飛散水とブロー水だけなので、分母はこの2つの合計になります。
ブロー量を減らすと、運転にどんな影響がありますか。
濃縮倍率が上がって水は節約できますが、塩分が濃くなるためスケールや腐食のリスクが増えます。どこまで濃縮を許すかが運転管理の勘どころです。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月