平成30年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問5を解説|用排水系統図から河川放流量を読む
平成30年度 大規模水質特論 問5は、水の合理化を行った後の用排水系統図をたどって、川へ放流される水量を求める問題です。
この問題のポイント
この問題は、図に書かれた矢印と数字をひとつずつ追って水収支を合わせる作業そのものです。分かれ目は系内で再び使われる水を、取水量として二重に数えてしまわないかと、川以外の出口を差し引けるかの2点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
解くときの着眼点
| 手順 | 見るところ | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 入る水を数える | 地下水から各工程へ入る量を合計します。図では製造ラインだけでなく、冷却塔や動力設備、事務所へ向かう線も地下水から分かれています。 |
| 2 | 出口を数える | 水が系の外へ出ていく道筋を洗い出します。川への放流のほかに、緑地への散水と、製品として持ち出される分があります。 |
| 3 | 再利用を除く | 排水処理の後に砂ろ過を経て工場内へ戻る線は、系の中を回っているだけです。取水量にも放流量にも数えません。 |
| 4 | 差し引く | 排水処理へ集まった量から、川以外へ向かう分を差し引いた残りが河川放流量になります。 |
ここが分かれ目
系統図の問題は、線を1本ずつ指でたどるのが結局いちばん速く、確実です。見落としが起きるのは決まって2か所で、1つ目が系内を循環している線、2つ目が川以外の出口です。
この図では、排水処理を出た水の一部が砂ろ過を通って工場内へ戻っています。これはいったん使った水を作り直して再び使っているだけなので、新たに汲み上げた地下水として数えてはいけませんし、川へ出ていく水でもありません。水合理化計画というのは、まさにこの循環を増やして取水量と放流量の両方を減らす取り組みです。
もう1つが緑地への散水です。排水処理を出た水の行き先は川だけではなく、緑地散水へ分かれる線を差し引き忘れると、その分だけ河川放流量を多く見積もります。製品として持ち出される水も系の外へ出る扱いになるので、「入った水はどこかへ必ず出ていく」という収支の考え方で最後につじつまを合わせてください。
なお、この問題は図に書き込まれた数字を正確に読み取ることが前提になります。数字の位置と矢印の向きは公式PDFの図で必ず確認してください。本文では手順の筋道だけを示しています。
覚え方
- 系統図は線を1本ずつたどる。暗算でまとめようとすると必ず落とす。
- 落とし穴は2つ。系内を循環する再利用水と、川以外の出口。
- 再利用水は取水にも放流にも数えない。系の中を回っているだけ。
- 水合理化計画の狙いは循環を増やして取水量と放流量を同時に減らすこと。
理解度チェック
用排水系統図で、排水処理後に工場内へ戻る水はどう扱いますか。
取水量にも放流量にも数えません。系の中を循環しているだけだからです。ここを新たな取水として数えると、収支が合わなくなります。
河川放流量を求めるとき、差し引き忘れやすいのはどの出口ですか。
緑地への散水など、川以外へ向かう線です。製品として持ち出される水も系の外へ出る扱いになります。出口をすべて洗い出してから差し引きます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月