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平成30年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問14を解説|排ガス中の水分量測定(等速吸引は不要)

平成30年度 ばいじん・粉じん特論 問14は、ダスト濃度を測るときにあわせて求める排ガス中の水分の量をどう測るかについての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

ダスト濃度の測定では、吸い込む速さを流れの速さに合わせることが決定的に重要でした。その直後に水分の測定が出てくるので、同じ作法を当てはめたくなります。しかし測る相手が違えば守るべき条件も違います。この問題は、採取装置・採取点の取り方・吸湿剤による計測・計算による代替という周辺の知識を並べたうえで、ダスト濃度の測定で必要だった条件を水分の測定にも持ち込んだ肢を一つ混ぜています。なぜダストでは必要で、水分では要らないのか。そこが分かれ目です。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)平衡形試料採取装置を使う場合は、あらかじめ水分量を知らなくても採取を始められます。
(2)○(正しい)水分は断面内で大きく偏らないため、中心部に近い1点だけからの採取で足ります。
(3)×(誤り)等速吸引が求められるのはダスト濃度の測定で、水分量の測定では要求されません。これが正解です。
(4)○(正しい)共通すり合わせU字管やシェフィールド形吸湿管に吸湿剤を詰め、増えた質量から水分を求めます。
(5)○(正しい)使用燃料の量や組成、送入空気の量や湿分などから計算で求める方法も認められています。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

等速吸引が要る・要らないは、測る相手が気流に素直に従うかどうかで決まります。ダストは慣性を持つ粒であり、吸い込みが遅すぎたり速すぎたりすると、気流と粒子の入り方がずれて濃度が実際と食い違います。だからダスト濃度の測定では吸引速度を流れの速さに合わせる必要がありました。ところが水分は気体としてガスに溶け込んで一様に混ざっているので、吸い込む速さを変えても採取したガスの中の水分の割合は変わりません。速く吸えばガスも水分もそろって多く入り、ゆっくり吸えばそろって少なく入るだけで、比率は動かないからです。したがって水分量の測定に等速吸引を義務づける記述は成り立ちません。

同じ理由から、選択肢(2)の採取点の取り方も説明がつきます。ダスト濃度は断面内で偏りが大きいため、断面を分割して複数の点から測る必要があります。これに対し水分は気体として混ざっているので断面内でほぼ均一とみてよく、中心部に近い1点だけの採取で代表させて構いません。等速吸引の要否と多点採取の要否は、どちらも「粒か気体か」という同じ一点から導けます。

残りの肢は測り方の実際です。選択肢(4)の吸湿剤を用いる方法は、一定量のガスを通して吸湿剤が吸い取った水の質量から水分を求めるもので、水分測定の基本形にあたります。選択肢(5)は測らずに求める道で、燃料の量と組成、送り込んだ空気の量や湿分が分かっていれば、燃焼で生じる水分を計算で押さえられます。選択肢(1)の平衡形試料採取装置は、吸引の条件を自動的に整えてくれるため、採取に先立って水分量を見積もっておく手間が要りません。裏を返せば、それ以外の方式では事前におおよその水分量を把握しておく必要があるということで、この対比まで押さえておくと選択肢(1)の意味がはっきりします。

覚え方

  • 等速吸引が要るのは粒を測るときだけ。気体として混ざる水分の測定には要らない。
  • ダスト濃度は断面内で偏るので多点採取、水分は均一なので中心付近の1点でよい。
  • 水分の実測は吸湿剤に吸わせて質量の増加を測る。管の名前より「吸わせて量る」原理で覚える。
  • 燃料の量と組成、送入空気の量と湿分が分かれば、計算で水分量を求めてもよい。

理解度チェック

Q.

排ガス中の水分量を測定するとき、等速吸引は必要か。

必要ありません。水分は気体としてガスに一様に混ざっているため、吸引速度を変えても採取ガス中の水分の割合は変わりません。等速吸引が必要なのはダスト濃度の測定です。

Q.

水分量の測定で、ダクト断面の1点だけから採取してよいのはなぜか。

水分は気体として断面内でほぼ均一に混ざっているためです。偏りの大きいダスト濃度とは異なり、中心部に近い1点で代表させられます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題・正解」(公式PDF