平成30年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問13を解説|ストークス数(ノズル内径には反比例)
平成30年度 ばいじん・粉じん特論 問13は、吸引速度がずれたときのダスト濃度の誤差を見積もる式に出てくるストークス数についての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
ストークス数は、粒子が気流の曲がりについていけるかどうかを表す目安です。ノズルの前で気流が向きを変えるとき、粒子がおとなしく曲がってくれれば吸い込む量は気流と同じ割合になり、曲がりきれずに直進すれば量がずれて誤差になります。この問題は、その数がどの量に引きずられるかを五つ並べたもので、四つは素直に増減の向きが書かれています。焦点はノズルの太さが効く向きで、ここだけが逆に書かれています。分子に置くのか分母に置くのかを、意味から導けるかが試されています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 粒子径の2乗に比例します。大きい粒子ほど気流の曲がりについていけません。 |
| (2) | ○(正しい) | ダストの密度に比例します。重い粒子ほど直進しようとします。 |
| (3) | ○(正しい) | 測定点のガス流速に比例します。速く飛び込むほど進路を変えにくくなります。 |
| (4) | ×(誤り) | 吸引ノズルの内径には比例せず反比例します。太いノズルほどストークス数は小さくなります。これが正解です。 |
| (5) | ○(正しい) | ガスの粘度に反比例します。粘り気が強いほど粒子は気流に引き回されます。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
ストークス数は、粒子が持っている「まっすぐ進み続けようとする勢い」を、気流が向きを変える場所の大きさで割った量だと考えると分かりやすくなります。前者は粒子の密度・粒子径の2乗・流速で決まり、粘度が大きいほど抑え込まれます。後者にあたるのが吸引ノズルの内径です。したがって式の形は、密度と粒子径の2乗とガス流速を分子に、粘度とノズル内径を分母に置いた比になります。内径に比例するという書き方は、分母にあるものを分子へ移してしまった誤りです。
意味からも同じ結論になります。ノズルが太ければ、その手前で気流が向きを変える範囲は広くゆるやかになり、粒子は余裕をもって進路を修正できます。つまり気流によく追従するようになり、ストークス数は小さくなります。逆に細いノズルでは狭い距離で急に曲がるため、粒子は曲がりきれずに直進しやすく、ストークス数は大きくなります。太いほど粒子がついていけなくなると読める記述は、この向きと合いません。
この量が非等速吸引の誤差と結びつくのは、ストークス数が大きいほど粒子と気流の振る舞いが食い違うからです。吸引速度が測定点のガス流速と一致していれば、粒子が気流に追従するかどうかにかかわらず取り込まれる量は正しくなります。しかしずれているとき、追従しやすい小さな粒子は気流と一緒に振り分けられるのに対し、追従しにくい大きく重い粒子は自分の勢いで直進し、ノズルへの入り方が変わってしまいます。この食い違いが濃度の誤差として表に出るため、ずれの影響は粗く重いダストほど大きくなります。細かく軽いダストなら多少の速度ずれでも誤差は小さく収まります。
覚え方
- ストークス数は粒子の勢い÷曲がる場所の大きさ。ノズル内径は分母なので反比例。
- 分子に来るのは粒子径の2乗・ダスト密度・ガス流速。分母に来るのは粘度とノズル内径。
- 大きい・重い・速いほど気流についていけない。粘い・太いほど気流に従う。
- ストークス数が大きいほど非等速吸引の誤差は大きい。粗いダストほど吸引速度に神経を使う。
理解度チェック
吸引ノズルの内径を大きくすると、ストークス数はどうなるか。
小さくなります。内径は分母にあたり、ストークス数は内径に反比例します。太いノズルでは気流の曲がりがゆるやかで、粒子が追従しやすくなります。
非等速吸引による濃度の誤差は、どのようなダストで大きくなるか。
ストークス数が大きいダスト、すなわち粒子径が大きく密度も大きいダストで誤差が大きくなります。気流に追従せず直進しやすいためです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月