平成30年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問10を解説|バグフィルターの事故対策(絶縁ではなく接地)
平成30年度 ばいじん・粉じん特論 問10は、バグフィルターを火災や粉じん爆発から守るための備えについての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
可燃性のダストを大量に集めるバグフィルターは、そもそも燃えやすいものが密に集まる箱です。だから安全対策は、燃えるための三条件のうち何をどこで断つかという発想で並びます。火種を持ち込ませない、燃料になる堆積を作らない、火花や熱を生む場所に目を配る、そして万一の圧力を逃がす。この流れの中に一つだけ、静電気の扱いを裏返した肢がまぎれています。電気を通さないようにするのか、それとも通り道を作ってやるのか。安全設計では答えが決まっている論点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 火種は装置に入る前に断つのが第一で、上流側での着火源の除去は基本の対策です。 |
| (2) | ○(正しい) | ダストが溜まる隅や棚を作らない構造にすれば、燃料そのものを内部に残さずに済みます。 |
| (3) | ×(誤り) | ダクトや本体は絶縁するのではなく接地します。絶縁は静電気をため込む方向で危険です。これが正解です。 |
| (4) | ○(正しい) | 回転部の摩擦による発熱や、異物のかみ込みで生じる火花は、装置内部で生まれる着火源です。 |
| (5) | ○(正しい) | 爆発が起きたときに圧力を安全な向きへ逃がす爆圧放散口は、被害を抑える備えとして設けます。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
ダストを含んだ気流がダクトの内面やろ布をこすりながら流れると、摩擦によって電荷が生まれます。このとき装置が大地とつながっていれば、生じた電荷はそのまま流れ去って何も起こりません。ところが電気的に絶縁してしまうと、行き場を失った電荷が装置にたまり続けます。溜まった電位がある限界を超えれば火花放電が起き、可燃性のダストが漂う空間で着火源になります。つまり絶縁は、対策どころか自分で着火源を育てる操作にほかなりません。
正しい対処は反対向きで、ダクトもバグフィルター本体も接地(アース)して電荷の逃げ道を確保することです。粉体を扱う設備で接地が繰り返し強調されるのはこのためで、静電気は「絶縁して封じ込める」ものではなく「導いて捨てる」ものだと押さえておけば、この種の肢で迷うことはありません。導電性のないダクトを部分的に使うと、そこだけ電気的に浮いてしまい同じ危険が生じます。
他の四つも、燃焼の三要素を装置に当てはめると一本の筋で読めます。選択肢(1)は火種を持ち込ませない対策、選択肢(2)は燃料となる堆積を残さない対策、選択肢(4)は装置自身が火種を作らないようにする対策です。そして選択肢(5)は、それでも起きたときに圧力を逃がして装置の破裂を防ぐ最後の備えにあたります。予防の網を三重に張り、破れたときの逃がし口を用意するという構えの中で、静電気の項目だけが逆を向いていたわけです。
覚え方
- 粉じんを扱う設備の静電気対策は接地して逃がす。「絶縁する」と書かれていたら誤り。
- 火災・爆発対策は燃焼の三要素で整理する。火種を断つ・燃料を残さない・逃がし口を作る。
- 着火源は外から来るものだけでなく、回転部の発熱や衝撃火花のように装置内部でも生まれる。
- 爆圧放散口は予防ではなく被害軽減の設備。予防策と役割を混同しない。
理解度チェック
ダクトやバグフィルター本体は、電気的に絶縁すべきか接地すべきか。
接地します。絶縁すると摩擦で生じた静電気がたまり、火花放電による着火の原因になります。
爆圧放散口は、何のために取り付けるのか。
爆発が起きてしまったときに圧力を安全な方向へ逃がし、装置の破壊や被害の拡大を防ぐためです。爆発そのものを予防する設備ではありません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月