平成30年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問8を解説|ろ布の表面加工法
平成30年度 ばいじん・粉じん特論 問8は、ろ過式集じん装置に使うろ布へ施す表面処理の種類に関する問題です。示された五つの加工のうち、薬品への強さと水・油のはじきやすさを高めることを狙ったものを選びます。
この問題のポイント
ろ布の表面加工は、名前が似ていても狙いがまったく違います。ろ布そのものを長持ちさせるための加工と、ダストの離れやすさや目詰まりの起こりにくさを整えるための加工が混在しており、この問題は前者を選ばせています。分かれ目はろ布を守る加工か、ろ過の状態を整える加工かという切り口で、加工名を五つ並べて覚えるよりも、この二系統に振り分けて整理するほうが確実です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | -(該当しない) | 毛焼き加工は、ろ布の表面に立っている毛羽を処理するための加工です。耐食性や撥水・撥油性を狙ったものではありません。 |
| (2) | -(該当しない) | 平滑加工は、名前のとおりろ布の表面を平らに整えることに主眼があり、主目的が異なります。 |
| (3) | -(該当しない) | 膜加工は、ろ布の表面側の性状を変えてろ過の状態を整える系統の加工で、主目的が異なります。 |
| (4) | ○(該当する) | ディッピング加工は、耐食性および撥水・撥油性の向上を主要目的とする加工です。これが正解です。 |
| (5) | -(該当しない) | コーティング加工も、ろ布表面の性状を変えてろ過の状態を整える系統の加工で、主目的が異なります。 |
選択肢(4)のポイント(ここが答え)
ディッピング加工は、名前が示すとおりろ布を処理液に浸して繊維の表面を覆うやり方の加工です。繊維が排ガスや付着水にじかに触れないようになるため、酸やアルカリによる劣化に対して強くなり、あわせて水や油がなじみにくくなります。つまり主要目的は耐食性および撥水・撥油性の向上で、狙いはろ布そのものを守ることにあります。
ろ布が水や油を吸ってしまうと、ダストが湿って固まり、払い落としても離れないという状態を招きます。撥水・撥油性を軽く見ると、目詰まりが進んで圧力損失が戻らなくなり、最終的にはろ布交換まで追い込まれます。酸露点を下回る運転で結露が起こる系統では、繊維が腐食で痛んで破れに直結するため、この加工の意味が大きくなります。
これに対し他の四つは、毛焼き加工のようにろ布表面の毛羽を処理するものや、表面の性状を整えてろ過の状態を扱うものが中心で、耐食性や撥水・撥油性を主目的に据えたものではありません。加工名を丸暗記するのではなく、「ろ布を守る側か、ろ過を整える側か」で仕分けておけば選べます。
覚え方
- ろ布の表面加工はろ布を守る系と、ろ過の状態を整える系の二系統に仕分ける。
- 浸す加工=繊維を覆う=守る側。耐食性と撥水・撥油性はディッピング加工。
- 毛焼きは毛羽の処理。表面の毛の状態をどうするかの話で、耐食性とは無関係。
- 撥水・撥油性が問われたら、行き先は湿ったダストによる目詰まりと圧力損失の戻らなさ。
理解度チェック
耐食性および撥水・撥油性の向上を主要目的とするろ布の表面加工法は何か。
ディッピング加工です。処理液に浸して繊維の表面を覆うことで、ろ布そのものを守る側の加工です。
毛焼き加工は何を目的とした加工か。
ろ布表面の毛羽を処理することが目的です。耐食性や撥水・撥油性の向上を狙った加工ではありません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月