令和6年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.20は、かご形誘導電動機にインバータ制御を用いた場合の特徴として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、インバータが波形をどう作るかを分かっているかを問うものです。インバータは半導体を高速で入り切りして交流を作るので、きれいな正弦波にはなりません。
その歪みが高調波として系統へ流れ出します。
正解:選択肢4(高調波対策が不要である)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 始動電流を小さくできる | 低い周波数から立ち上げられる。適当 |
| 2 | 低速でトルクが出にくいものがある | 制御方式によっては起きる。適当 |
| 3 | 速度制御が容易で省エネ | 最大の利点。適当 |
| 4 | 高調波対策が不要 | インバータは高調波の発生源。不適当 |
最も不適当なのは選択肢4です。
インバータは、次の順で交流を作り直しています。
交流(電源) → コンバータで直流に変換 → インバータで任意の周波数の交流に変換 → 電動機へ
この最初の交流から直流への変換で、電源から取り込む電流の波形が歪みます。正弦波ではなく、山の部分だけを切り取ったような形になり、これが高調波として系統へ流れ出します。
つまりインバータは、高調波の発生源そのものです。対策が不要どころか、対策が必要な代表的な機器です。
| 高調波対策 | 内容 |
|---|---|
| 交流リアクトル・直流リアクトル | インバータの入力側に入れ、電流波形の歪みを和らげる |
| 高調波フィルタ | 特定の次数の高調波を吸収する |
| 多パルス化 | 整流の回数を増やして(12パルスなど)波形を正弦波に近づける |
ほかの3つは、インバータの正しい特徴です。
選択肢1の始動電流は、インバータを使う大きな利点です。じかに電源をつなぐと定格の6〜7倍の電流が流れますが、インバータなら低い周波数から徐々に上げて立ち上げられるので、始動電流を抑えられます。
選択肢3の省エネルギーも利点です。ポンプやファンでは、風量・水量を弁やダンパで絞るより、回転速度そのものを落とすほうがはるかに電力が減ります。
選択肢2は逆に弱点を述べたものです。制御方式によっては、極端に低い速度でトルクが出にくくなります。「特徴」を問う問題では、利点だけでなく弱点も正しい肢になるので、良いことばかりが並んでいる肢を疑います。
この問題は、同じ年度のNo.7(高調波)とつながっています。あちらでは「発生源における低減対策として、発生機器に高調波フィルタを設ける」が正しい肢でした。その発生機器の代表がインバータです。
インバータが高調波を出すのはなぜか。
交流を直流に変換するときに電源から取り込む電流の波形が歪み、それが高調波として系統へ流れるためです。
インバータ制御で始動電流を小さくできるのはなぜか。
低い周波数から徐々に上げて立ち上げられるためです。じかに電源をつなぐと定格の6〜7倍の電流が流れます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月