令和4年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.6は、同一定格の単相変圧器3台をΔ-Δ結線して三相変圧器として使う場合の記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、Δ結線が第3調波を閉じ込めることを分かっているかを問うものです。外に出ないので通信線への障害も起きません。
問題文はΔ結線の利点をそのまま欠点として書き換えています。
正解:選択肢3
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 適当 | Δ結線では線間電圧と巻線電圧が等しい |
| 2 | 適当 | 1台故障しても残り2台でV-V結線として運転できる |
| 3 | 不適当 | 第3調波はΔの中を環流し、外部に出ない |
| 4 | 適当 | Δ-Δでは一次側と二次側の線間電圧が同相 |
不適当なのは選択肢3です。
変圧器の鉄心は磁気飽和するので、正弦波の電圧をかけても励磁電流には第3調波が含まれます。基本波の3倍の周波数の成分です。
三相の第3調波には特徴があります。3相とも位相が揃っていることです。基本波は120度ずつずれていますが、その3倍の第3調波は360度ずれとなり、結果として同相になります。
Δ結線は3つの巻線が輪になってつながっています。同相の電流はこの輪の中をぐるぐる回るだけで、外の線には出ていきません。
つまりΔ結線は第3調波を閉じ込める働きをします。これは欠点ではなく利点です。問題文は「外部に出るので、近くの通信線に障害を与える」と、逆の内容にしてあります。
もしΔ結線が無いとどうなるかを見ると、この働きがはっきりします。Y-Y結線だけで組むと第3調波の逃げ道がなく、中性点の電位が動いて電圧波形がひずみます。だから実際にはY-Y-Δのように、第3調波を回すためだけのΔ巻線(安定巻線)を足します。
ほかの3つを見ておきます。
選択肢1は電圧の関係です。Δ結線では巻線が線と線の間に入るので、線間電圧と巻線電圧が等しくなります。Y結線なら巻線電圧は線間電圧の1/√3になります。
選択肢2はV-V結線です。3台のうち1台が故障しても、残り2台で三相を送り続けられます。ただし出力は3台のときの√3/3、つまり約58%に落ちます。
選択肢4は位相です。Δ-Δ結線では一次側と二次側の線間電圧が同相になります。Δ-YやY-Δだと30度ずれるので、変圧器を並行運転するときはこの角変位を揃える必要があります。
Δ結線で第3調波が外部に出ないのはなぜか。
三相の第3調波は位相が揃っているため、輪になったΔ巻線の中を環流するだけで、外の線には流れ出さないからです。
Δ-Δ結線の1台が故障したときはどうするか。
残る2台をV-V結線にして三相を送り続けられます。ただし出力は3台のときの約58%に下がります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月