令和4年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.2は、材料の異なる2つの磁性体のヒステリシス曲線を比べる問題です。
この問題は、ヒステリシス損がループで囲まれた面積で決まることを分かっているかを問うものです。横に広いイのほうが面積が大きく、損失も大きくなります。
ほかの3つは、グラフの縦横の値をそのまま読めば判断できます。
※ 問題の図そのものは、建設業振興基金が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢4
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 適当 | アの頂点のほうがBが高い。最大磁束密度は大きい |
| 2 | 適当 | アは細いループ。H軸との交点が0に近く、保磁力が小さい |
| 3 | 適当 | B軸との交点はイのほうが低い。残留磁気は小さい |
| 4 | 不適当 | イのループのほうが面積が大きい。損失は大きい |
不適当なのは選択肢4です。
ヒステリシス曲線は、磁界の強さHを行ったり来たりさせたときに、磁束密度Bがどう動くかを描いたものです。行きと帰りで同じ道を通らないので、輪になります。
この輪で囲まれた面積が、1周あたりに失われるエネルギーです。交流では1秒間に何十回もこの輪を回るので、面積が大きいほど発熱が増えます。これがヒステリシス損です。
図のアは縦に細長いループ、イは横に広いループです。面積はイのほうが大きいので、ヒステリシス損もイのほうが大きくなります。問題文は「イのほうが小さい」としているので誤りです。
グラフのどこを見るかを整理しておきます。
| 読む値 | グラフのどこか |
|---|---|
| 最大磁束密度 | ループの一番上の高さ |
| 残留磁気 | 縦軸(B軸)との交点。H=0にしても残る磁束密度 |
| 保磁力 | 横軸(H軸)との交点。Bを0に戻すのに要る逆向きの磁界 |
| ヒステリシス損 | ループで囲まれた面積 |
この4つのうち、面積を見るのはヒステリシス損だけです。ほかは軸との交点か高さを見ます。
ほかの3つを見ておきます。
選択肢1はループの高さです。アの頂点がイより上にあるので、アの最大磁束密度が大きくなります。
選択肢2は保磁力です。アは縦に立った細いループなので、H軸を横切る点が原点の近くにあります。保磁力が小さいということです。
選択肢3は残留磁気です。B軸との交点はアのほうが上、イのほうが下にあります。
実務では、この形の違いが用途の違いになります。アのように細いものは変圧器や電動機の鉄心に使います。損失が小さく、磁化と減磁を繰り返しても発熱しにくいためです。イのように横に広いものは永久磁石に向きます。保磁力が大きく、磁化された状態が消えにくいためです。
ヒステリシス損はグラフのどこを見れば分かるか。
ループで囲まれた面積です。1周あたりに失われるエネルギーに相当し、面積が大きいほど損失が大きくなります。
変圧器の鉄心に向くのはどんなヒステリシス曲線か。
細いループです。保磁力が小さく面積も小さいので、磁化と減磁を繰り返しても損失が少なくてすみます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月