令和4年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.12は、単相誘導電動機の始動法として不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、スターデルタ始動が三相の方法であることを分かっているかを問うものです。単相にはY結線もΔ結線もありません。
ほかの3つは、いずれも単相で回転磁界を作るための工夫です。
正解:選択肢1(スターデルタ始動形)
| 選択肢 | 始動法 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | スターデルタ始動形 | 三相かご形誘導電動機の始動法 |
| 2 | コンデンサ始動形 | 補助巻線にコンデンサを入れて位相をずらす |
| 3 | くま取りコイル形 | 磁極の一部を短絡環で囲んで磁束を遅らせる |
| 4 | 分相始動形 | 抵抗の大きい補助巻線で位相をずらす |
不適当なのは選択肢1です。
スターデルタ始動は、三相かご形誘導電動機の巻線を、始動時はY結線、加速後にΔ結線へ切り替える方法です。Y結線にすると巻線にかかる電圧が1/√3になり、始動電流を1/3に抑えられます。
この方法が成り立つのは、三相だから3つの巻線をYにもΔにも組めるからです。単相電動機には巻線をそう組み替える相がありません。
単相誘導電動機には、別の問題があります。単相では回転磁界ができないことです。交流が行ったり来たりするだけの磁界になるので、止まっている状態からは回り出しません。
そこで、始動のときだけ位相のずれた第2の磁界を作って回転磁界に近づけます。選択肢2・3・4はどれもその工夫です。
| 始動法 | 位相をずらす方法 |
|---|---|
| コンデンサ始動形 | 補助巻線に直列コンデンサ。始動トルクが大きい |
| 分相始動形 | 補助巻線を細く巻いて抵抗を大きくする |
| くま取りコイル形 | 磁極の一部を短絡環(くま取りコイル)で囲む。構造が簡単で小型向き |
ほかの3つを見ておきます。
選択肢2のコンデンサ始動形は、補助巻線にコンデンサを直列に入れます。コンデンサは電流の位相を進めるので、主巻線との間に大きな位相差ができます。3つの中で始動トルクが最も大きく、エアコンの圧縮機などに使われます。
選択肢3のくま取りコイル形は、磁極の一部に銅の短絡環をはめます。そこを通る磁束だけが遅れるので、磁界が少しずつ移動する形になります。部品が少なく安価ですが始動トルクは小さく、扇風機や換気扇のような軽い負荷に使われます。
選択肢4の分相始動形は、補助巻線を主巻線より細く巻いて抵抗を大きくします。抵抗が大きいと電流の位相が進むので、位相差ができます。コンデンサを使わない分だけ簡単ですが、始動トルクは中程度です。
単相誘導電動機が自分では始動できないのはなぜか。
単相の交流では回転磁界ができず、行き来するだけの磁界になるからです。始動時だけ位相のずれた磁界を作る工夫が要ります。
スターデルタ始動で始動電流が抑えられるのはなぜか。
始動時にY結線とすることで巻線にかかる電圧が1/√3になり、電流が1/3に下がるからです。三相の巻線だからこそできる切り替えです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月