令和4年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.9は、原子力発電に用いる原子炉の構成に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、減速材が何を減速するのかを分かっているかを問うものです。減速材が相手にするのは中性子で、放射線を遮る役ではありません。
遮るのは遮へい材です。
正解:選択肢2(減速材が放射線の漏えいを防ぐとした記述)
| 選択肢 | 材料 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 冷却材 | 適当。熱エネルギーを原子炉外に取り出す |
| 2 | 減速材 | 不適当。書かれているのは遮へい材の働き |
| 3 | 反射体 | 適当。漏えいする中性子を炉心に戻す |
| 4 | 制御材 | 適当。中性子数を調整して出力を制御する |
最も不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、原子炉の材料が5つあり、名前と働きの組が入れ替えやすいところです。減速材の本来の働きは高速中性子のエネルギーを衝突で奪い、熱中性子にすることです。
この定義は令和7年度 1級 No.7(公表正答4)の選択肢2に正しい肢として置かれています。そちらの誤りは加圧水型原子炉の説明でした。
| 材料 | 働き | 代表的な物質 |
|---|---|---|
| 冷却材 | 熱を炉外へ運び出す | 軽水、ヘリウムガス |
| 減速材 | 高速中性子を熱中性子にする | 軽水、重水、黒鉛 |
| 反射体 | 漏れた中性子を炉心に戻す | 黒鉛、ベリリウム |
| 制御材 | 中性子を吸収して出力を調整 | ホウ素、カドミウム |
| 遮へい材 | 放射線が外へ漏れるのを防ぐ | コンクリート、鉛 |
減速材が要るのは、核分裂で飛び出す中性子が速すぎて、次の核分裂を起こしにくいからです。ぶつけて遅くすると、ウラン235に吸収されやすくなります。
軽水炉では冷却材と減速材が同じ軽水です。1つの物質が2つの役を兼ねているので、名前で覚えていると混ざりやすくなります。
働きで整理すると分かりやすくなります。中性子を遅くするのが減速材、戻すのが反射体、吸うのが制御材、外へ出さないのが遮へい材です。
選択肢4の制御材は、実際には制御棒として炉心に出し入れします。深く入れるほど中性子が吸われて出力が下がり、緊急時には一気に挿入して核分裂を止めます。
選択肢3の反射体は、炉心の外側に置きます。中性子を炉心に戻すことで、同じ出力を出すのに必要な燃料が少なくて済みます。
減速材の働きは何か。
核分裂で発生した高速中性子のエネルギーを衝突により奪い、熱中性子にすることです。
炉の内部の放射線が外部に漏れるのを防ぐのは何か。
遮へい材です。コンクリートや鉛が使われます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月