けんせつる
あんなに大きいのに、地盤は弱くていいの?
遮水ゾーンのローラは、ダム軸に直角?平行?
この記事の要点
フィルダムとは、岩石や土を盛り立ててつくるダムのことです。性質の違う材料をゾーン(帯)に分けて積み上げます。
「大きな基礎岩盤強度を必要とする」は誤りです。それが要るのはコンクリートダムのほうです。
まず、コンクリートダムとの違いから押さえます。ここが分かると残りは全部つながります。
フィルダムは、岩石や土を盛り立ててつくるダムです。重力式コンクリートダムがコンクリートの塊で水圧を受け止めるのに対し、フィルダムは土石を台形に積み上げます。
この造り方から、いくつもの利点が生まれます。
ここが令和8年度2級の誤り肢になったところです。「堤体積が大きい」と「大きな基礎岩盤強度が要る」は、一見つながって見えます。実際は逆です。
フィルダムは台形に広がった形をしていて、底面が非常に広い。重さは大きくても、それが広い面積に分散して岩盤に伝わります。1か所あたりの圧力は小さくなります。
コンクリートダムは違います。断面が細く、荷重が狭い底面に集中します。だから硬い岩盤が要ります。大きな基礎岩盤強度を必要とするのは、フィルダムではなくコンクリートダムのほうです。
この一点を押さえると、フィルダムが「地盤条件がやや悪い場所でも建設できる」という利点も自然に理解できます。
ゾーン型フィルダムは、水を通しにくい材料を中心に置き、外側へ向かって水を通しやすい材料を配置します。
| ゾーン | 位置 | 材料と役割 |
|---|---|---|
| 遮水ゾーン(コア) | 堤体の中央 | 遮水性(不透水性)の粘性土。水を止める |
| 半透水ゾーン (フィルター) |
コアの上下流側 | 半透水性材料。コアの細粒分が流れ出すのを防ぐ |
| 透水ゾーン(ロック) | 最も外側 | 透水性材料(岩塊)。水圧と堤体の安定を受け持つ |
出題では中央と上下流を入れ替える肢が出ます。中央を透水性にすると水が堤体を通り抜けて、ダムの役目を果たせません。また、コア材を「砂礫や岩石など半透水性の土質材料」とするのも誤りで、遮水性の粘性土が正しい材料です。
遮水ゾーンは水を止める中心部なので、施工の条件が厳しくなります。
基礎掘削はベンチカット工法などにより、階段状に上方から下方へ段階的に掘り下げます。
混同しやすい用語
フィルダム と コンクリートダム(基礎岩盤)
必要な岩盤の強度が逆です。フィルダムは堤体積が大きくても広い底面に荷重を分散するので、基礎岩盤に求められる強度は小さくてすみます。コンクリートダムは荷重が狭い底面に集中するため、大きな基礎岩盤強度が要ります。「フィルダムは大きな基礎岩盤強度を必要とする」は誤りです。
ダム軸に平行 と ダム軸に直角
同じダムでも工法で向きが違います。フィルダムの遮水ゾーンの転圧はダム軸に平行にローラを走らせます。一方、RCD工法の横継目はダム軸に直角(横断方向)に設けます。転圧は平行、横継目は直角、と分けて覚えます。
フィルダムは2級でくり返し出ます。引っかけは2型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和8年度 2級(No.28) | 「堤体積が大きく、また大きな基礎岩盤強度を必要とする」→ 誤り。強度は小さくてすむ ←①(正答4) |
| 令和6年度 2級前期(No.28) | 「中央部に透水性の高い材料、上下流部に遮水性」→ 誤り。逆 ←②(正答1) |
| 令和6年度 2級後期(No.28) | コア材を「砂礫や岩石など半透水性の土質材料」→ 誤り。遮水性の粘性土 ←②(正答2) |
| 令和7年度 2級(No.28) | 中央コア型は中央に遮水性材料、上下流側に半透水性材料(フィルター)が正しい肢(正答3はRCDの横継目) |
問題:フィルダムは堤体積が大きいのに、基礎岩盤強度が小さくてすむのはなぜか。
台形に広がった形で底面が非常に広く、荷重が広い範囲に分散して岩盤に伝わるためです。1か所あたりの圧力が小さくなります。荷重が狭い底面に集中するコンクリートダムのほうが、大きな基礎岩盤強度を必要とします。(令和8年度2級 No.28)
問題:中央コア型ロックフィルダムで、中央に置くのはどんな材料か。外側は。
中央は遮水性(不透水性)の粘性土でコアをつくります。その上下流側に半透水性材料(フィルター)、最も外側に透水性のロック材を積みます。中央を透水性にすると水が堤体を通り抜けてダムの役目を果たせません。「コア材に砂礫や岩石など半透水性の材料」も誤りです。(令和6年度2級前期 No.28、後期 No.28)
問題:遮水ゾーンを降雨時に施工しないのはなぜか。転圧の向きは。
締固めを最適含水比前後の定められた狭い範囲で行う必要があり、雨で含水比が変わるとその範囲から外れるためです。転圧は原則としてダム軸に平行な方向にローラを走らせます(RCD工法の横継目がダム軸に直角なのとは別です)。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
令和8年度の誤り肢は、うまく作られています。「堤体積が大きい」までは正しいので、その勢いで「だから強い岩盤が要る」と読んでしまいます。でも大きいからこそ底面が広く、圧力は分散する。ここが逆転のポイントです。
ゾーニングのほうは、水を止めるものが真ん中と覚えれば迷いません。外側は水を通してよく、むしろ通すことで堤体内に水が溜まらないようにします。中央を透水性にしたら、ダムとして成立しません。