平成29年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問7を解説|不燃性で爆発性がない特定物質
平成29年度 大気有害物質特論 問7は、事故時の措置が定められた物質のうち、燃えも爆発もしないものを選ばせる正誤問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
並んでいるのはどれも人体に害のある気体ですが、この問題が見ているのは毒性ではありません。燃えるかどうかという別の軸です。分子の中の元素がすでに酸素と結びつききっているなら、それ以上は燃えようがありません。逆に、まだ酸素と結びつく余地を残しているものは、空気と混ざった状態で火種を得れば爆発的に燃えます。この判定基準を持って選択肢を眺めれば、四つは同じ側に並び、ひとつだけが外れることが見えてきます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 刺激臭の塩基性ガスですが、空気と混じって一定の濃度範囲に入ると燃焼し、爆発の危険があります。 |
| (2) | ×(誤り) | 不完全燃焼で生じるガスで、それ自体が燃料として燃えます。広い濃度範囲で爆発性を示します。 |
| (3) | ×(誤り) | 腐卵臭で知られる毒性ガスですが、硫黄がまだ酸化されておらず、可燃性かつ爆発性があります。 |
| (4) | ○(正しい) | 硫黄がすでに酸素と結びつききった形で、それ以上燃えません。燃焼にも爆発にも寄与しない気体です。 |
| (5) | ×(誤り) | 刺激性の強いアルデヒドで、蒸気は引火しやすく、爆発の危険を伴います。 |
選択肢(4)のポイント(ここが正しい)
燃えるという現象は、要するに物質が酸素と結びついて熱を出すことです。だから、すでに酸素と結びつききった分子は、もう燃えるための余地がありません。二酸化硫黄はその状態にあり、空気と混ぜても、火種を近づけても燃焼は起こりません。同じ理屈で二酸化炭素も燃えず、こちらは消火剤に使われるほどです。
この軸で残りを見直すと、性格の違いがはっきりします。一酸化炭素は名前のとおり酸素との結びつきが一段浅く、まだ燃える余地を残しています。硫化水素の硫黄も同じで、酸化されればそのまま二酸化硫黄に変わります。アンモニアの水素、アクロレインの炭素と水素も、いずれも酸素を求める側です。つまりこれらは毒性に加えて、爆発という第二の危険を抱えていることになります。
この区別は、事故が起きたときの動き方に直結します。燃えない物質なら、まず考えるのは拡散の抑制と、アルカリなどによる中和・吸収です。ところが可燃性の物質では、それ以前に火気を断ち、爆発の起きる濃度範囲に入らないよう換気で薄めることが最優先になります。毒性の強さだけで手順を組むと、この順序を取り違えます。
覚え方
- 酸素と結びつききった分子は燃えない。二酸化硫黄と二酸化炭素がその代表。
- 「一酸化」と付く物質は、まだ酸化の余地がある=燃える、と読む。
- 硫化水素の硫黄は未酸化。燃えて二酸化硫黄に変わる側にいる。
- アンモニアも可燃性ガス。刺激臭と毒性の印象で不燃だと思い込まない。
- 可燃性の物質の事故対応は、中和より先に火気の遮断と換気による希釈。
理解度チェック
二酸化硫黄が燃えないのはなぜか。
分子の中の硫黄がすでに酸素と結びつききっているためです。燃焼とは酸素と結びついて熱を出す反応なので、その余地がなければ燃えません。
可燃性の特定物質が漏えいしたとき、まず優先すべき措置は何か。
火気の遮断と、換気による希釈です。中和や吸収より先に、爆発が起こる濃度範囲に入らせないことを考えます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月