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平成29年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問6を解説|ふっ化水素の吸収はガス側境膜律速

平成29年度 大気有害物質特論 問6は、ふっ素を含むガスの性質と、その処理で気をつける点を並べた正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

ふっ素化合物の出題は、酸としての強さ、材料を侵す力、水への溶けやすさという三つの物差しを、わざと混ぜてきます。この三つは連動しないので、ひとつずつ切り分けて判断するのが定石です。引っかけの核心は吸収の速さを決めているのが気相側か液相側かの一点で、水に飛び込むように溶けるガスに、溶けにくいガスの理屈を貼り付けています。残りの肢は、酸性の強弱、装置の閉塞、洗浄水の後始末という順で、処理の流れをそのままなぞっています。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)酸としては弱い部類に入りながら、ガラスや多くの金属を侵します。酸の強弱と腐食性が一致しない代表例です。
(2)○(正しい)四ふっ化けい素が水と反応して生じる酸は、電離しやすい強酸として振る舞います。正しい記述です。
(3)×(誤り)水に飛び込むように溶けるガスなので、律速するのは気相側の境膜です。液相側が支配すると述べるのは誤りです。
(4)○(正しい)加水分解で生じる二酸化けい素が固体として析出し、充塡層やノズルを詰まらせます。正しい記述です。
(5)○(正しい)カルシウム分と反応させて溶けにくいふっ化物として沈め、取り除く方法です。正しい記述です。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

ガスが液に取り込まれるとき、ガスは気相側の薄い停滞層を横切り、界面を越え、液相側の停滞層を進みます。この二つの停滞層が境膜で、全体の速さは通しにくいほうの境膜で決まります。どちらが通しにくいかを決めるのが、そのガスの溶けやすさです。水にどんどん溶けるガスは、界面に着いた端から液に引き込まれるため、液相側は詰まりません。残る関門は気相側だけになります。

ふっ化水素はまさにその典型で、水に極めてよく溶けます。したがって吸収速度を握るのは気相側の境膜であり、装置を設計するときはガスの流れをかき乱して気相側の抵抗を減らすことが効きます。選択肢(3)が言うように液相側の抵抗が速さを支配すると読むと、対策の向きが逆になり、液を増やしたり撹拌を強めたりという、効かない手を打つことになります。液相側が効いてくるのは、酸素や二酸化炭素のように水に溶けにくいガスのほうです。

あわせて、四ふっ化けい素を吸収する装置では、選択肢(4)の閉塞が現実の悩みになります。水と反応するとふっ素側は液に溶ける酸になりますが、けい素側は固体の二酸化けい素として残るためです。充塡層のすき間や液の噴出口に少しずつ堆積し、圧力損失を押し上げていきます。

覚え方

  • 吸収の律速は溶けやすさで決まる。よく溶けるガスはガス側境膜律速、溶けにくいガスは液側境膜律速
  • ガス側律速の代表はふっ化水素・塩化水素・アンモニア。液側律速の代表は酸素・二酸化炭素。
  • ガス側律速ならガスの流れをかき乱す、液側律速なら液の側を更新する、と対策を分ける。
  • ふっ化水素は「酸としては弱いのに腐食性は強い」。強さと危なさは別の物差し。
  • 四ふっ化けい素を吸収させると、けい素側が固体で出てきて装置を詰まらせる。

理解度チェック

Q.

ふっ化水素を水に吸収させるとき、速さを決めているのはどちら側の境膜か。

気相側の境膜です。水に極めてよく溶けるガスは界面に着いた端から液へ引き込まれるため、液相側の抵抗はほとんど効きません。

Q.

四ふっ化けい素を吸収する装置で、あらかじめ見込んでおくべき不具合は何か。

加水分解で生じる二酸化けい素の析出による閉塞です。充塡層のすき間やノズルに堆積し、圧力損失を押し上げていきます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF