平成29年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問8を解説|ふっ素の分析3法に共通する事項
平成29年度 大気有害物質特論 問8は、排ガス中のふっ素をとらえて測る三つの方法に、共通して当てはまる事項を問う正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
三つの方法は、ガスを捕まえて溶液にするところまで足並みがそろっていて、分かれるのは測定の段になってからです。だから「共通する事項はどれか」と問われたら、前処理の側は共通、測定の詰めは方法ごとという線引きを当てはめれば足ります。引っかけの核心は、その線を一歩踏み越えたところにあり、装置の原理が違えば当然変わってくる補正の手続きを、三つ全部に共通するかのように書いています。捕集の条件や妨害の除き方が並ぶ中に、ひとつだけ性格の違うものが混じっている構図です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 捕集に使うアルカリ性の吸収液は三つの方法で共通です。ふっ素をイオンの形で液に取り込みます。 |
| (2) | ○(正しい) | 毎分1 L 前後で吸引し、40 L ほど採るという採取の条件も、三つの方法で共通の目安です。 |
| (3) | ○(正しい) | 検量線の基準になる標準液は、ふっ化物のナトリウム塩から調製します。三つの方法で共通です。 |
| (4) | ○(正しい) | アルミニウムなどの金属イオンが妨害する場合に、蒸留で分けてから測るという手当ても共通です。 |
| (5) | ×(誤り) | 空試験の扱いは方法ごとに違います。吸光光度法では空試験液を対照として吸光度を測るため、測定値から計算で差し引く手順にはなりません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
空試験は、試薬や器具に由来する分をあらかじめ把握しておくための操作です。ここまでは共通ですが、その結果をどう使うかは測定の原理によって変わります。吸光光度法は、二つの液の光の吸われ方を比べて濃度を出す方式です。したがって空試験液そのものを基準(対照)に置き、そこからの差として試料の吸光度を読み取ります。数値を出したあとで別に差し引く、という手順にはなりません。
これに対して、イオン電極法とイオンクロマトグラフ法は、試料から得た値がまず数値として出てきます。そこで、別に測った空試験の値を計算で引き算して、正味の濃度を求めます。つまり計算で差し引くのは三つのうち二つの方法だけであり、三つ全部に当てはまる事項として挙げるのは誤りです。
ほかの四つは、いずれも捕集と前処理の側の話です。吸収液はアルカリ性のもので統一され、採取の流量と量にも共通の目安があり、標準液の素になる試薬も同じ、妨害イオンが出てきたときの蒸留による分離も同じです。入口はそろえ、出口で分かれるという構造が見えていれば、共通事項を問う設問は素早く処理できます。
覚え方
- 分析方法の共通事項を問う設問は前処理は共通、測定の詰めは方法ごとで切り分ける。
- 吸光光度法の空試験は「対照液」。電極法とイオンクロマトグラフ法の空試験は「差し引く数値」。
- 排ガス中ふっ素の吸収液はアルカリ性。酸性の液ではない。
- アルミニウムなどの金属イオンが妨害したら、蒸留で分けてから測る。
- 検量線に使う標準液は、ふっ化物のナトリウム塩から調製する。
理解度チェック
ふっ素化合物の分析3法のうち、空試験を「対照液」として使うのはどれか。
吸光光度法です。光の吸われ方を比べる方式なので空試験液を基準に置きます。イオン電極法とイオンクロマトグラフ法は、空試験の値を計算で差し引きます。
金属イオンが共存して測定の邪魔をするとき、どう手当てするか。
蒸留によってふっ素側を分離してから定量します。アルミニウムなどが液中でふっ素と結びつき、正しい値が得られなくなるためです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月