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平成29年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問4を解説|充塡塔は液分散形(ガス分散形ではない)

平成29年度 大気有害物質特論 問4は、吸収装置の代表格である充塡塔のしくみを述べた文章の下線部5か所から、誤っているものを選ぶ問題です。

この問題のポイント

吸収装置は、どちらの相を細かく散らして接触面積を稼ぐかで二つに分かれます。液を薄く広げてガスを当てにいく型と、ガスを泡にして液の中をくぐらせる型です。充塡塔は前者にあたり、詰め物の表面を伝って落ちる液の膜が、そのまま接触面になります。引っかけはこの分類名の入れ替えという一点だけで、装置の説明としてはもっともらしく読めてしまいます。残りの下線部は、充塡物の材質や形、圧力損失を左右する要因という、素直な内容です。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(誤っている記述)

各下線部の正誤

下線正誤解説
(1)○(正しい)吸収液を塔の上から落とし、下から昇るガスと逆向きに当てる流し方で、充塡塔の基本どおりです。
(2)×(誤り)充塡物の表面を伝う液の膜が接触面になる装置なので、ガスの側を分散させる型と呼ぶのは誤りです。
(3)○(正しい)筒状や鞍状に成形した詰め物が使われ、ラシヒリングはその古典的な代表例です。正しい記述です。
(4)○(正しい)詰め物の形や寸法が変われば空隙の通りやすさも変わるため、圧力損失に効いてきます。正しい記述です。
(5)○(正しい)液を増やせば空隙が塞がれ、ガスを増やせば流速が上がるので、どちらも圧力損失を押し上げます。正しい記述です。

下線(2)のポイント(ここが誤り)

吸収装置の分類は、名前が対になっているぶん取り違えやすいところです。液分散形は液を細かく散らす型で、充塡塔のほか、スプレー塔やぬれ壁塔、ベンチュリスクラバーがここに入ります。これに対してガス分散形は、ガスを液の中に吹き込んで泡にする型で、段塔や気泡塔が代表です。充塡塔で起きているのは、詰め物の表面を濡らしながら落ちる液の膜に、隙間を通るガスが触れていく現象ですから、分類は前者になります。

下線部が言うようにガスの側を分散させる装置だと読むと、装置の姿がまるで変わってしまいます。液の中にガスを吹き込む構造なら、そもそも詰め物は要りませんし、圧力損失も液の深さで決まる別の話になります。同じ文の中で詰め物の材質や圧力損失を語っていること自体が、この装置が液分散形であることの裏づけです。

あわせて、充塡塔の運転で気にする現象も押さえておくと得です。液の量を増やしすぎると詰め物の隙間に液が溜まって滞留しはじめ、やがてガスが液を押し上げてしまいます。圧力損失が急に跳ね上がったら、この液の滞留を疑うのが実務の順序で、下線(5)が液とガス双方の流量を挙げているのはそのためです。

覚え方

  • 吸収装置は液分散形(充塡塔・スプレー塔)とガス分散形(段塔・気泡塔)で二分する。
  • 充塡塔は詰め物の表面を流れる液の膜が接触面。膜が乾いた部分は働かない。
  • 圧力損失を決めるのは「詰め物の種類と大きさ」と「液とガスの流量」。
  • 液を増やしすぎると隙間に液が溜まり、圧力損失が急に立ち上がる。
  • 詰め物の材質は、扱う液の腐食性に合わせて陶磁器・樹脂・金属から選ぶ。

理解度チェック

Q.

充塡塔は液分散形とガス分散形のどちらか。理由もあわせて答えよ。

液分散形です。吸収液が充塡物の表面を膜になって流れ落ち、その膜が接触面になるためで、ガスを泡にして液に通す段塔や気泡塔とは構造が違います。

Q.

充塡塔の圧力損失は、何によって変わるか。

充塡物の種類と大きさのほか、液とガスの流量によって変わります。液量を増やすと隙間が塞がれ、圧力損失が上がります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF