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平成29年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問3を解説|ガス吸収の特徴(高い除去率は得にくい)

平成29年度 大気有害物質特論 問3は、有害ガスを液に溶かして取り除く方式の長所と短所を並べた正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

ガスを液に移す操作は、どこまでも進むわけではありません。液の側にその成分が溜まってくると、気相へ戻ろうとする力とつり合ってしまい、それ以上は移らなくなります。この頭打ちが、吸収という操作の性格を決めています。引っかけの核心は到達できる除去の程度を書き換えた一点で、吸着なら書けても吸収では書けない水準を、さらりと長所のふりで紛れ込ませています。ほかの四つは、湿式であることの利点と、その裏返しの手間を素直に並べたものです。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)出口濃度をほとんどゼロまで下げることを手軽にやってのけるかのような書き方です。吸収は気液平衡に縛られるため、そこまで下げるには段数も液量も大幅に増やす必要があり、誤りです。
(2)○(正しい)液を使う湿式の装置なので、粉じんの捕集や高温ガスの冷却を同じ装置で引き受けられます。正しい記述です。
(3)○(正しい)装置の構造が単純で、吸収液も安価なものが選べるため、費用の面では有利です。正しい記述です。
(4)○(正しい)有害物質が溶け込んだ液は酸性や塩基性に振れ、装置の材料を侵します。正しい記述です。
(5)○(正しい)使い終わった液がそのまま排水になるため、水側の処理設備が要ることがあります。正しい記述です。

選択肢(1)のポイント(ここが誤り)

吸収の進み方を決めているのは、気相の濃度と液相の濃度のあいだに成り立つつり合いです。液に溶けた成分は、その濃度に応じて気相へ戻ろうとします。塔を高くしても液量を増やしても、この気液平衡という天井は消えません。出口の濃度を思い切り下げたければ、新しい液を大量に供給し続けるか、溶けた成分を薬剤で反応させて液中から消し続けるか、いずれにしても設備と運転費が跳ね上がります。

選択肢(1)は、この事情を無視してきわめて高い除去率を容易に達成できると述べています。実際には、吸収の弱点として真っ先に挙げられるのが高い除去率を確保しにくいことです。「容易に」という一語が入った時点で疑ってかかるのが正解への近道になります。

対照的に、吸着は固体の表面に成分を溜め込む操作なので、破過が来るまでは出口濃度をきわめて低く保てます。低濃度の有害ガスを徹底的に取りきりたい場面で活性炭が選ばれるのは、この性格の違いによるものです。低濃度・高除去率なら吸着、高濃度・中程度の除去率なら吸収という住み分けを持っておくと、この種の比較問題で迷いません。

覚え方

  • ガス吸収は気液平衡が天井になり、極端に高い除去率は得にくい
  • 選択肢に「容易に」「簡単に」が付いた性能の記述は、まず疑う。
  • 湿式の利点は「集じん・冷却を兼ねられる」「装置が安い」の二つ。
  • 湿式の代償は「腐食」と「排水処理」。長所と短所は必ず対で出る。
  • 低濃度を徹底的に取りきりたいなら吸着、量をさばくなら吸収。

理解度チェック

Q.

ガス吸収で出口濃度を極端に下げにくいのはなぜか。

気相と液相のあいだに気液平衡が成り立ち、液側に成分が溜まると移動が頭打ちになるためです。下げ切るには液量や段数を大幅に増やす必要があります。

Q.

湿式の吸収装置を使うことで、あわせて生じる負担は何か。

溶けた有害物質による装置の腐食と、使用済みの液を処理する排水処理です。集じんや冷却を兼ねられる利点の裏返しになります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF