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平成29年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問2を解説|塩素との反応でつくる無機塩化物

平成29年度 大気有害物質特論 問2は、金属の塩化物のうち、塩素ガスを直接使って合成されるものを選ばせる正誤問題です。正しいものを選びます。

この問題のポイント

金属の塩化物には、大きく二つのつくり方があります。金属や酸化物を塩酸に溶かす方法と、金属に塩素ガスを直接作用させる方法です。前者が圧倒的に多く、塩素ガスを持ち出す製法は限られています。この問題は、その少数派を言い当てられるかを見ています。分かれ目は塩酸ルートか塩素ルートかの一点で、名前が似ていても製法はまるで違います。塩素ガスを扱う工程では塩素そのものの漏えい対策が必要になるので、有害物質を扱う科目でわざわざ問われます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(正しい記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)二価の鉄の塩化物は、鉄を塩酸に溶かして得るのが主流です。鉄に塩素を作用させると三価側の塩化物になります。
(2)○(正しい)銅に塩素を直接作用させる製法が代表的で、塩素ガスを使う数少ない例に当たります。
(3)×(誤り)亜鉛の塩化物は、亜鉛や酸化亜鉛を塩酸に溶かしてつくります。塩素ガスは使いません。
(4)×(誤り)バリウムの塩化物は、鉱石を還元して得た中間体を塩酸で処理してつくる系統です。
(5)×(誤り)マグネシウムの塩化物は海水やかん水から取り出せるもので、塩素ガスとの反応を経ません。

選択肢(2)のポイント(ここが正しい)

塩化物の製法を二系統に割ると、頭の中がすっきりします。ひとつは塩酸ルートで、金属・酸化物・炭酸塩などを塩酸に溶かし、濃縮して結晶にする道すじです。もうひとつが塩素ルートで、加熱した金属に塩素ガスを吹き込んで直接くっつける道すじです。銅の二価塩化物は、この後者でつくられる代表格になります。

この違いは、単なる化学の知識にとどまりません。塩素ルートの工場は、原料として塩素ガスそのものを扱います。塩素は反応槽や配管の継ぎ手から漏れれば、それ自体が事故時の措置を要する物質であり、未反応分を含む排ガスをアルカリで洗ってから出す必要があります。塩酸ルートの工場で警戒するのは塩化水素のミストであって、対象も装置の組み方も変わってきます。

もうひとつ押さえたいのが、塩素ガスは酸化力が強く、金属を高い酸化数まで持っていくという点です。鉄に塩素を当てると三価の塩化物になり、二価の塩化物は得られません。二価と三価のどちらが問われているかを読み違えると、正しい肢を落とします。

覚え方

  • 塩化物の製法は塩酸に溶かす型と、塩素ガスを直接当てる型の二系統で覚える。
  • 塩素ガスを直接当てる型は、金属が高い酸化数側の塩化物になりやすい(鉄なら三価)。
  • 海水・かん水から取り出せる塩化物(マグネシウムなど)は塩素ガスと無関係。
  • 塩素ルートの工程=塩素の漏えい対策とアルカリ洗浄が必要な工程、と結びつける。
  • 塩酸ルートで警戒するのは塩化水素、塩素ルートで警戒するのは塩素そのもの。

理解度チェック

Q.

金属の塩化物をつくる二つの道すじは何か。

金属や酸化物を塩酸に溶かす道すじと、加熱した金属に塩素ガスを直接作用させる道すじです。後者は限られた塩化物にしか使われません。

Q.

鉄に塩素ガスを作用させると、何価の塩化物が得られるか。

三価の塩化物です。塩素は酸化力が強く、金属を高い酸化数側へ持っていくためで、二価の塩化物は塩酸に鉄を溶かす方法で得ます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF