平成29年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問1を解説|製品と発生する有害物質の組合せ
平成29年度 大気有害物質特論 問1は、金属・ガラス・酸などをつくる現場で、どの有害物質が大気側へ出てくるかを対応づける正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
工程から飛び出す有害物質は、その場の思いつきで決まるわけではなく、原料の鉱石に何が伴っているか、工程で何を加えるか、その二つでほぼ決まります。この問題は、その逆算ができるかを見ています。引っかけの核心は原料に微量含まれる金属と実際に排ガス側で対策が要る物質のすり替えで、鉱石を酸で分解する工程に、まったく別系統の金属を並べています。原料鉱石の名前まで思い出せれば、その場で切れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 亜鉛の原料鉱石にはカドミウムが伴っており、焙焼や製錬の高温でカドミウムが蒸気となって排ガスに移ります。正しい組合せです。 |
| (2) | ○(正しい) | 鉛を加えて屈折率と輝きを高めた高級ガラスで、原料を溶かしている間に鉛が揮散します。正しい組合せです。 |
| (3) | ×(誤り) | りん鉱石を酸で分解する工程から気相へ移るのはふっ化水素や四ふっ化けい素です。カドミウムを組み合わせるのは誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | 酸化アルミニウムを氷晶石の融液に溶かして電解するため、浴からふっ素化合物が発生します。正しい組合せです。 |
| (5) | ○(正しい) | リサージは酸化鉛の一種で、その製造そのものが鉛を高温で扱う工程になります。正しい組合せです。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
りん酸は、りん鉱石を硫酸などの酸で分解してつくります。このとき効いてくるのが、鉱石が元から抱えているふっ素です。酸を受けたふっ素は遊離して気相へ移り、ふっ化水素と四ふっ化けい素という二つの形で排ガスに乗ります。だからこの工程で用意するのは、ふっ素を狙った吸収装置であり、シリカの析出による閉塞や、装置材料の腐食に頭を悩ませることになります。
ところが選択肢は、ここにカドミウムを組み合わせています。カドミウムは亜鉛の鉱石に伴って動く金属で、亜鉛の製錬側で対策の対象になるものです。りん鉱石にも微量の重金属が含まれることはありますが、この工程を代表する大気側の有害物質としてカドミウムを挙げるのは筋が違います。ふっ素という答えが先に浮かべば、迷わず切れる肢です。
残りの四つは、いずれも原料と添加物から素直につながります。亜鉛にカドミウム、ガラスと酸化鉛に鉛、アルミニウムの電解に氷晶石由来のふっ素、という組合せです。
覚え方
- 工程から飛ぶ有害物質は原料鉱石に何が伴うかで決まる。製品名ではなく原料から逆算する。
- ふっ素が出る工程は「りん酸・アルミニウム電解・ガラス・窯業」でひとまとめ。
- カドミウムが出る工程は「亜鉛の製錬」。亜鉛と一緒に動く金属と覚える。
- 鉛が出る工程は「鉛製錬・鉛入りガラス・酸化鉛(リサージ)の製造」。
- 氷晶石を使う電解=ふっ素を含む浴を高温で扱う、と結びつけておく。
理解度チェック
りん酸をつくる工程で、大気側の対策対象になる有害物質は何か。
ふっ化水素と四ふっ化けい素です。りん鉱石が含むふっ素が、酸による分解のときに遊離して気相へ移ります。
カドミウムが排ガス側で問題になるのは、どの金属の製錬か。
亜鉛の製錬です。原料鉱石にカドミウムが伴うため、高温の工程で蒸気となって出てきます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月