平成30年度 公害防止管理者 大気特論 問10を解説|低空気比燃焼と二段燃焼法のNOx抑制効果
平成30年度 大気特論 問10は、低空気比燃焼によるNOx抑制法に関する記述中、下線を付した箇所のうち誤っているものを選ぶ問題です。
この問題のポイント
この問題は、低空気比燃焼がなぜNOxを減らせるのか、その代わり何を犠牲にするのかという長所と短所の両面を押さえているかを問うています。引っかけの核心は最後に置かれた他の抑制法との効果の比較で、手軽さと効果の大きさが取り違えられています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている箇所)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 空気比を下げると燃焼領域に供給される酸素が減ります。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 酸素濃度と火炎温度の両方が下がるため、サーマルNOx・フューエルNOxのどちらにも効きます。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 酸素が不足すると未燃分が残り、すすが発生しやすくなります。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 余分な空気を加熱せずに済むため排ガスの持ち去る熱が減り、省エネルギーになります。正しい記述です。 |
| (5) | ×(誤り) | 低空気比燃焼のNOx抑制効果は、二段燃焼法より小さいのが一般的です。「大きい」とするのは誤りです。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
低空気比燃焼は、送り込む空気を絞るだけで実施でき、余分な空気を加熱する損失が減るので省エネルギーにもなるという扱いやすい方法です。ただし空気比を下げられる幅には限りがあります。下げ過ぎればすすや未燃分が出て、かえって運転が成り立たなくなるためで、NOxを下げきる前に限界が来ます。
これに対して二段燃焼法は、燃焼用空気を二段に分けて供給し、一段目を空気不足の還元性雰囲気にしてNOxの生成を抑え、二段目で残りを燃やし切ります。全体としては十分な空気を入れながら、局所的に酸素の薄い領域をつくれるため、すすを出さずに抑制幅を大きく取れます。選択肢(5)は、手軽な方法のほうが効果まで大きいと述べている点が誤りです。手軽さと効果の大きさは別の話だと切り分けてください。
覚え方
- 低空気比燃焼は手軽で省エネだが効果は小さい。二段燃焼法のほうが抑制幅は大きい。
- NOxが減る理屈は2つ同時。酸素濃度が下がることと火炎温度が下がること。だからサーマル・フューエルの両方に効く。
- 下げ過ぎの代償はすす・未燃分。空気比には下限がある。
- 二段燃焼法は「一段目を酸素不足に、二段目で燃やし切る」。全体の空気は足りている点が低空気比燃焼との違い。
理解度チェック
低空気比燃焼でNOxが減るのはなぜですか。
燃焼領域の酸素濃度が下がることと、火炎温度が下がることが同時に起きるためです。この2つが効くので、サーマルNOxとフューエルNOxのどちらにも抑制効果があります。
低空気比燃焼と二段燃焼法では、NOx抑制効果はどちらが大きいですか。
二段燃焼法です。低空気比燃焼は空気比を下げ過ぎるとすすが出るため抑制幅に限界があります。二段燃焼法は全体の空気量を確保したまま一段目だけを酸素不足にできるので、より大きく抑えられます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月