平成29年度 公害防止管理者 大気特論 問14を解説|二酸化硫黄の紫外線吸収分析計(スペクトルと測定波長)
平成29年度 大気特論 問14は、紫外線をどれだけ吸うかで二酸化硫黄の濃度を連続して求める計測器について、図中の記号と測定に使う波長域の組合せを選ぶ問題です。
この問題のポイント
図には性質の違う三本の曲線が重ねて描かれ、どれがどの気体のものかを読み取ったうえで、測定に使う波長の帯を決めることが求められます。曲線の形そのものが手掛かりで、細い線が何本も立つもの、なだらかに下がって長波長側でまた持ち上がるもの、そして山を二つ持つものと、見分けの目印ははっきりしています。もう一つの分かれ目はなぜその帯を選ぶのかで、目的の気体がよく吸うことと、ほかの気体が吸わないことの両方を満たす場所を探すのが答えへの筋道です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
各選択肢の正誤
| 空欄 | 入る語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | C | 短波長側の鋭い立ち上がりに加え、中ほどにぎざぎざした幅広い山を持つ曲線です。吸収帯が二つある点が目印になります。 |
| イ | A | 短波長側だけに細い線状のピークが並び、それより長い波長ではほとんど吸収がありません。 |
| ウ | B | 左端から緩やかに下がったあと、長波長側で再び持ち上がる幅の広い吸収を示します。 |
| エ | 280~320 nm | Cの幅広い山がちょうど乗り、他の二本の吸収がほとんどない帯域です。 |
ここが分かれ目
まず曲線の見分けから入ります。細い線が櫛のように何本も並ぶ吸収は、分子の構造が単純な気体に特有の姿です。図では短波長側にだけそれが現れ、波長が長くなると平らになります。一方、左端から幅広くだらだらと続き、長波長側でもう一度立ち上がっていく曲線は、可視光に近い側まで光を吸う気体のものです。残る一本は、短波長側で急激に立ち上がる強い吸収と、中ほどに乗る山なりの吸収という二つの吸収帯を持ちます。これが測りたい相手です。
次に、その相手をどこで測るか。短波長側の強いほうを使えばよさそうに思えますが、そこには細い線状の吸収を示す気体のピークが重なっています。排ガスにはその気体も一緒に含まれますから、短波長側で測れば両者の吸収を足し合わせた値を読むことになり、目的の濃度になりません。しかも吸収が強すぎる帯域では光がほとんど透過せず、濃度の変化に対する感度も取りにくくなります。だから、あえて弱いほうの山を使います。
中ほどの山が乗る帯域まで来ると、線状の吸収はすでに消えており、長波長側で立ち上がる曲線もまだ持ち上がる前です。目的の気体だけが吸っている場所なので、そこでの吸収量の変化はそのまま濃度の変化として読めます。逆に、長波長側の帯域を選べば測っているのは別の気体になってしまいます。波長の選定とは、目的の成分が十分に吸い、かつ共存成分が吸わない窓を探す作業なのだと理解しておけば、似た形の出題にも同じ考え方で対応できます。
覚え方
- 二酸化硫黄の連続測定に使うのは280~320 nm。短波長側の強い吸収帯は使わない。
- 曲線の見分けは形で。細い線が並ぶ=一酸化窒素、長波長側で立ち上がる=二酸化窒素、山が二つ=二酸化硫黄。
- 波長選定の条件は二つ。目的成分がよく吸うこと、共存成分が吸わないこと。
- 吸収が強すぎる帯域は光が通らず不利。弱いほうの吸収帯をあえて使う場面がある。
理解度チェック
二酸化硫黄の測定に、短波長側の強い吸収帯を使わないのはなぜか。
その帯域には一酸化窒素の吸収が重なるためです。両者の吸収を足し合わせた値を読むことになり、目的の濃度が求まりません。吸収が強すぎて光が透過しにくい点も不利です。
紫外線領域で、長波長側に向かって吸収が立ち上がっていく気体はどれか。
二酸化窒素です。可視光に近い側まで光を吸うため、より長い波長の帯域を選ぶとこの気体を測ってしまいます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月