平成29年度 公害防止管理者 大気特論 問15を解説|窒素酸化物の化学分析方法(酸化・吸収・還元・発色の順)
平成29年度 大気特論 問15は、試料ガス中のNOxを試薬で発色させ、色の濃さから量を求める手順について、空欄に入る語句の組合せを選ぶ問題です。
この問題のポイント
手順は、酸化する、吸収液に取り込む、還元する、発色させる、吸光度を読む、という一本道で進みます。空欄はその前半三か所に置かれ、酸化に使うもの、吸収液の中でいったん落ち着く形、そして発色に使う試薬が問われます。見分けの鍵は後ろの工程から前を推理できるかで、わざわざ還元する工程が置かれている以上、その手前がどんな形でなければならないかは自動的に決まります。手順を丸暗記していなくても、この一点で候補を絞り込めます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)
各選択肢の正誤
| 空欄 | 入る語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | オゾン | 一酸化窒素はそのままでは吸収液に取り込みにくいため、短時間で確実に酸化しきる強い酸化剤が要ります。 |
| イ | 硝酸イオン | 十分に酸化された窒素酸化物は、吸収液の中でいちばん酸化の進んだ形に落ち着きます。 |
| ウ | スルファニルアミド | 還元して生じた形と反応して中間体を作り、続けて加える試薬とつながって赤紫色の色素になります。 |
ここが分かれ目
最大の決め手は、亜鉛粉末で還元する工程が置かれていることです。還元するということは、その手前の段階では還元される余地のある形、つまりより酸化の進んだ形で存在していたということになります。もし吸収の段階ですでに一段低い形になっているのなら、わざわざ亜鉛を加えて戻す意味がありません。吸収液の中でいきなり発色できる形になっていると読む組合せは、後ろの工程と矛盾するため落とせます。工程表は前から順に読むだけでなく、後ろから逆にたどると空欄が埋まる、という典型例です。
酸化剤の側も、速さで考えると迷いません。一酸化窒素は空気中の酸素にも少しずつ酸化されますが、その進み方はゆっくりで、分析のように決められた時間で全量を処理しなければならない場面には向きません。取りこぼしがあれば、その分だけ濃度を低く見積もることになります。だから、はるかに強い酸化力を持つ気体をその場で発生させ、試料ガスと合わせて一気に酸化します。酸素で酸化すると読み替える組合せは、この速さの差を見落としたものです。
最後の発色は、二段構えの反応です。還元されて生じた形の窒素が、まず加えた試薬と結びついて不安定な中間体を作り、そこにナフチルエチレンジアミン二塩酸塩がつながって、赤紫色の色素が完成します。この色の濃さを決められた波長で読み取れば、もとの窒素酸化物の量に換算できます。似た組立ての発色反応では別のアミノ化合物が使われる流儀もあるため、試薬名だけを頼りに選ぶと取り違えます。還元してから発色させるという順番を軸に据えて、そこから前後を確かめるのが安全です。
覚え方
- 手順は酸化して吸収、還元してから発色。工程の順番そのものが解答の根拠になる。
- 還元の工程があるなら、その手前はより酸化の進んだ形。逆算で空欄が埋まる。
- 酸化剤は反応の速いものを選ぶ。ゆっくりしか進まない相手では定量にならない。
- 発色は二段構え。中間体を作る試薬と、色をつなぐ試薬の二つが要る。
理解度チェック
吸収液に取り込む前に、試料ガス中の一酸化窒素を酸化するのはなぜか。
一酸化窒素は水に溶けにくく、そのままでは吸収液に取り込めないためです。短時間で全量を確実に酸化するため、反応の速い酸化剤を用います。
亜鉛粉末を加える工程は、何のために置かれているか。
吸収液中で酸化の進んだ形になっている窒素を、発色反応に使える一段低い形へ戻すためです。この工程があること自体が、その手前の形を決める手掛かりになります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 0104「排ガス中の窒素酸化物分析方法」(亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法)
※ この記事の確認日:2026年7月