平成29年度 公害防止管理者 大気特論 問13を解説|排ガス試料採取方法(1点採取が許される条件)
平成29年度 大気特論 問13は、煙道から分析用のガスを抜き取るときの場所と道具の決まりごとについての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
どこから抜くか、どの向きで挿すか、どんな太さの管を使うか、そして断面内の何か所から取るか。試料採取の段取りを順に確かめる作りになっています。前半と後半は場所と道具の話で素直に読めますが、真ん中に置かれているのが手間を省いてよい条件です。複数点で取るのが原則の作業を1点で済ませるには相応の前提が要り、その前提の厳しさをどこまで緩められるかが問われています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 曲がりの近くは流れが片寄るため、採取の場所としては避けます。 |
| (2) | ○(正しい) | 通路の広さが急に変わる場所も流れが乱れるので、同じく避けます。 |
| (3) | ×(誤り) | 許容されるばらつきの幅が広すぎます。1点で済ませてよいのは、もっと差が小さいときに限られます。これが正解です。 |
| (4) | ○(正しい) | 採取管を流れにほぼ直角に挿し込める向きで、採取口を設けます。 |
| (5) | ○(正しい) | 化学分析に用いる場合は、示された程度の太さの管が使われます。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
断面内の1点だけで代表させるということは、その1点の値をそのまま全体の値として使うということです。もし断面の中に濃い場所と薄い場所があれば、たまたま挿した位置がどちらだったかで結果が動いてしまいます。だから原則は複数の点から取って平均することにあり、1点で済ませるのは例外扱いです。例外が認められるのは、各採取点で測った値の差がほとんどなく、断面内の濃度が実質的に均一だと確かめられた場合に限られます。
その線引きとして、規格では断面内のガス濃度の変動が15 %以下であることを目安に置いています。問題文が示す幅はこれより広く、四分の一もの振れがあっても1点でよいと読める書き方になっています。数字を覚えていなくても、複数点で取る手間を省いてよい条件はかなり均一であることのはずだと考えれば、緩すぎる肢として浮かび上がります。
ほかの肢は、いずれも流れを乱さないための工夫です。曲がりのすぐ後ろでは外側に流れが寄り、内側には渦ができます。通路の広さが急に変わる場所でも同じことが起こります。こうした場所では断面内の濃度や流速が均一になりにくいので、まっすぐな区間の、流れが落ち着いたところを選びます。採取管を流れに直角に挿すのも同じ趣旨で、斜めに挿し込めば管そのものが流れを乱し、自分で作った乱れの中の試料を取ることになってしまいます。管の太さは、化学分析なら必要な量のガスを無理なく吸える程度で足り、ダストまで測るときにはより太い採取口が要ります。
覚え方
- 1点採取は例外。断面内がほぼ均一と確かめられたときだけ認められる。
- 採取位置は、曲がり・断面変化・合流のそばを外し、流れの落ち着いた直管部に取る。
- 採取管は流れに直角。斜めに挿すと自分で流れを乱す。
- 管の太さは目的で決まる。化学分析用より、ダストを測る側のほうが太い口が要る。
理解度チェック
断面内の1点だけを採取点としてよいのは、どんな場合か。
各採取点で測った値の差がほとんどなく、断面内の濃度がほぼ均一だと確かめられた場合です。ばらつきが残るなら複数点から取って平均します。
ダクトの屈曲部分の近くを採取位置に選ばないのはなぜか。
曲がりの先では流れが外側へ片寄り、内側に渦ができるためです。断面内の濃度や流速が均一になりにくく、代表性のある試料を取れません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 0095「排ガス試料採取方法」(採取位置・採取点・採取口の規定)
※ この記事の確認日:2026年7月