平成29年度 公害防止管理者 大気特論 問12を解説|燃料ガスの特殊成分分析法(硫化水素の測り方)
平成29年度 大気特論 問12は、ガス燃料に含まれる微量な成分をどの成分にどの測り方を当てるかを問う組合せ問題です。誤っている組合せを選びます。
この問題のポイント
硫黄分、窒素分、有機物、そして水分と、性質のまるで違う五つの成分に、それぞれ相性のよい測定手段が割り当てられています。滴定で量る成分、色を出させて量る成分、分離してから量る成分、質量の増え方で量る成分と、原理が一つずつ違うのが手掛かりです。狙われているのは同じ規格の別の成分で使われる手法の名前で、見覚えがある語だけに、間違った相手に付いていても違和感が薄くなります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている組合せ)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 硫化水素にこの手法を当てる規定はありません。滴定や発色、試験紙による方法が置かれています。これが正解です。 |
| (2) | ○(正しい) | 硫黄分をまとめて硫酸イオンに変え、バリウム塩として滴定する方法が規定されています。 |
| (3) | ○(正しい) | アルカリ性の成分なので、吸収させたうえで酸により滴定する方法が使えます。 |
| (4) | ○(正しい) | 有機化合物なので、カラムで分離してから検出するガスクロマトグラフ法が適します。 |
| (5) | ○(正しい) | 吸収剤に吸わせ、その質量の増え方から量を求める方法が規定されています。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
硫化水素にあてがわれているのは、よう素による滴定、メチレンブルーの発色を利用する吸光光度法、酢酸鉛試験紙を使う方法といった、硫化物の形のまま直接つかまえる流儀です。いずれも試料ガスを吸収液や試験紙に通し、硫化水素が持っている還元性や、鉛と結びついて色を変える性質をそのまま利用します。イオンを分離してから検出する手法を硫化水素に当てるという組合せは、この規格の中には置かれていません。
厄介なのは、この手法の名前自体は同じ規格の中で実際に登場する点です。硫黄分をまとめて量る成分や、アルカリ性の窒素成分の側には、この手法が測定手段の一つとして並んでいます。つまり出題者は、同じ規格の別の成分で使われる手法名を、そのまま硫化水素に貼り付けたわけです。見覚えのある語が並んでいるだけで正しく思えてしまうのが、この種の組合せ問題の落とし穴です。
覚え方の軸は、成分の姿を変えるかどうかに置くのが確実です。硫黄分をまとめて量る場合は、いったん燃やすなどして硫黄をすべて硫酸イオンの形へそろえてから測ります。姿をそろえる工程があるからこそ、イオンを分ける手法や沈殿を作る滴定が使えます。これに対して硫化水素は、ガスの中にある硫化水素だけを狙って、その場の性質を頼りに量る対象です。まとめて量るのか、そのまま量るのかという違いを押さえておけば、手法の入れ替えに引っかかりません。
覚え方
- 硫化水素はよう素滴定・メチレンブルー・酢酸鉛試験紙が本筋。硫化物のまま量る。
- 硫黄分をまとめて量る成分は、硫酸イオンへ姿をそろえてから沈殿滴定などにかける。
- 有機化合物はカラムで分離してから検出。ガスクロマトグラフ法が定位置。
- 水分は吸収剤に吸わせて質量の増え方で量る。反応や発色を経ない直接的な計量。
理解度チェック
燃料ガス中の硫化水素は、どのような原理の方法で定量するか。
よう素による滴定、メチレンブルーの発色を用いる吸光光度法、酢酸鉛試験紙による方法などです。硫化物の形のまま、その還元性や鉛との反応を利用して量ります。
硫黄分をまとめて量る場合、測定の前に何をするか。
燃やすなどして、含まれる硫黄をすべて硫酸イオンの形にそろえます。姿をそろえてから沈殿滴定などにかけるのが基本の流れです。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 2301「燃料ガス及び天然ガス-分析・試験方法」(特殊成分の分析方法)
※ この記事の確認日:2026年7月