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平成29年度 公害防止管理者 大気特論 問7を解説|高温腐食のメカニズム(付着の仕方)

平成29年度 大気特論 問7は、ボイラーの高温部で起きる金属の傷みを説明した文について、線を引いた5か所から誤りを1つ選ぶ問題です。

この問題のポイント

重油を燃やしたときに灰の成分が伝熱面を侵していく流れを、原因物質、起こる場所、付き方、進み方の順に説明した文です。引っかけの核心は、金属化合物が伝熱面にどういう状態でくっつくのかという一語にあります。文の後半は、付いたものが下地の保護被膜を侵すという書き方になっており、前半の付き方と噛み合っているかを読み比べれば見つけられます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤っている箇所)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)重油の灰分に含まれる代表的な金属で、高温腐食の主役です。原因物質として正しい記述です。
(2)○(正しい)単独より、もう一方の金属と一緒になったときに融けやすい付着物をつくります。並記されているのは適切です。
(3)○(正しい)ボイラーの中で金属温度が最も高くなる部位で、高温腐食が現れる典型的な場所です。正しい記述です。
(4)×(誤り)付き方の説明が違います。気体から直接固まるのではなく、融けた状態で伝熱面に付着します。
(5)○(正しい)付着物が保護被膜を溶かし込む働きをする、という進み方の説明として正しい記述です。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

高温腐食のしくみは、付着物が液体であるという一点にかかっています。重油の灰に含まれるバナジウムの酸化物は、ナトリウムの化合物と一緒になると単独よりずっと融けやすい混合物になります。過熱器や再熱器のように金属温度の高い部位では、この混合物が溶けたまま伝熱面にへばりつきます。したがって、気体の状態から直接固体として析出するという説明は、実際の付き方とずれています。

なぜ液体かどうかが決定的なのかというと、伝熱面を守っているのが母材の表面にできた酸化被膜だからです。乾いた粉が積もるだけなら、被膜は下でそのまま生き続けます。ところが液体の付着物は被膜と密着し、被膜そのものを溶かし込みます。これが融剤としての働きで、被膜が失われた場所では下地の金属が排ガスにさらされ、酸化が止まらなくなります。守りの層を溶かす液体がまとわりつくという像で押さえると、後段の説明とも自然につながります。

設問の文が付き方の直後に保護被膜と融剤の話を置いているのは、この流れを追わせるためです。気体から直接固まったものが、なぜ融剤として働けるのかと問い直せば、線を引かれた語のうち1つだけが浮いていることに気づけます。腐食を抑える方向としては、燃料側の金属分を減らすこと、付着物が融けにくくなるよう添加剤を使うこと、伝熱面の金属温度を下げることが挙げられます。

覚え方

  • 高温腐食は溶けた灰が保護被膜を溶かす腐食。付着物が液体であることが出発点。
  • 主役はバナジウム、脇役はナトリウム。2つがそろうと融けやすくなり、腐食が加速する。
  • 起きる場所は金属温度が最も高い過熱器・再熱器まわり。煙道の低温側で起きる腐食とは別物。
  • 低温側の腐食は硫酸の露結が原因、高温側の腐食は灰の融着が原因。原因物質と場所をペアで覚える。

理解度チェック

Q.

重油に由来する金属化合物は、高温伝熱面にどのような状態で付着するか。

溶融した状態です。バナジウムとナトリウムの化合物は一緒になると融けやすくなり、金属温度の高い部位では液体のまま伝熱面に付着します。液体だからこそ保護被膜に密着し、これを溶かし込みます。

Q.

高温腐食と低温腐食は、どこで区別すればよいか。

原因物質と発生場所です。高温腐食は過熱器など金属温度の高い部位で、灰中の金属化合物が融けて保護被膜を侵します。低温腐食は煙道の温度が下がった部位で、排ガス中の硫酸分が露結して金属を侵します。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF