平成29年度 公害防止管理者 大気特論 問4を解説|軽油とプロパンの混焼と湿り排ガス量
平成29年度 大気特論 問4は、油とガスを同じ炉で同時に燃やす設備について、水蒸気を含んだままの排ガスが1時間に何立方メートル出るかを求める計算問題です。
この問題のポイント
2種類の燃料が同時に供給されるところが目新しく見えますが、やることはそれぞれの理論酸素量を別々に出して足すだけです。分かれ目は単位のそろえ方で、油は1時間あたりの質量、ガスは1時間あたりの体積で与えられています。片方を計算から落としたり、最後に水蒸気を切り落としたりすると、用意された誤答にそのまま着地します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(約1675 m³N/h)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 1375 m³N/h。各成分を積み上げた合計に遠く届かず、余剰空気も水蒸気も取りこぼした水準です。 |
| (2) | × | 1450 m³N/h。水蒸気を除いた乾きの排ガス量を出すと、この付近になります。問われているのは湿りの量です。 |
| (3) | × | 1525 m³N/h。プロパンだけで計算して軽油の分を落とすと、この付近に落ちます。 |
| (4) | × | 1600 m³N/h。惜しい値ですが、余剰酸素や水素由来の水蒸気を1項でも落とすと合計はここまで下がります。 |
| (5) | ○ | 約1675 m³N/h。窒素・余剰酸素・二酸化炭素・水蒸気を積み上げた合計と一致します。これが正解です。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 手順1 軽油の中身 | 10 kg/h のうち炭素8.5 kg、水素1.5 kg。炭素は同じ体積の酸素を、水素は半分の体積の酸素を要します。 | C 8.5 kg/H 1.5 kg |
| 手順2 軽油の理論酸素 | 炭素分から約15.9、水素分から約8.4。合わせて軽油側の理論酸素量になります。 | 約24.3 m³N/h |
| 手順3 プロパンの理論酸素 | プロパン1に対し酸素5の割合で消費します。50 m³N/h の5倍です。 | 250 m³N/h |
| 手順4 理論空気量 | 両者の理論酸素量を足して約274.3。酸素は空気の21%なので0.21で割ります。 | 約1306 m³N/h |
| 手順5 実際の空気量 | 空気比1.2なので手順4を1.2倍します。 | 約1567 m³N/h |
| 手順6 排ガスの内訳 | 窒素 約1238/余剰酸素 約55/二酸化炭素 約166(軽油16+プロパン150)/水蒸気 約217(軽油17+プロパン200)。 | — |
| 手順7 合計 | 手順6の4項をすべて足したものが湿り燃焼排ガス量です。 | 約1675 m³N/h |
ここが分かれ目
まず押さえたいのは、混焼でも計算はただの足し算だという点です。油とガスは互いの燃焼を邪魔しないので、それぞれが必要とする酸素を別々に求めて合算すれば、あとは1種類の燃料と同じ流れで進みます。手順を分けずにまとめて処理しようとすると、単位の違うものを掛け合わせて破綻します。
次に単位です。軽油は質量で与えられているので、炭素と水素の質量から体積へ換算する必要があります。プロパンははじめから体積で与えられているため換算は不要で、反応式の係数をそのまま倍率として使えます。両者を同じ土俵にそろえないまま足すのが、最も多い事故です。
最後に、問われているのが湿りの排ガス量である点を必ず確認してください。水蒸気は全体の1割を超える大きな項で、これを落とすと選択肢(2)付近まで一気に下がります。プロパンは分子1個から4個の水蒸気を出すため、水蒸気の大半はガス側から来ています。逆に、軽油の分をまるごと忘れると選択肢(3)付近に着地します。どちらの取りこぼしも選択肢として用意されているので、積み上げた4項が全部そろっているかを最後に数えるのが確実です。
覚え方
- 混焼は燃料ごとに理論酸素量を出してから合算。合算後は単一燃料と同じ手順。
- 湿り排ガス=窒素+余剰酸素+二酸化炭素+水蒸気。この4本立てで積み、最後に本数を数える。
- 質量で与えられた油は体積へ換算し、体積で与えられたガスは反応式の係数を倍率にする。
- 余剰酸素は理論酸素量×(空気比−1)。窒素は実際の空気量の79%。
理解度チェック
2種類の燃料を同時に燃やすとき、理論空気量はどう求めるか。
燃料ごとに理論酸素量を計算して足し合わせ、その合計を0.21で割ります。互いの燃焼が干渉しないので、単純な合算で構いません。
湿り燃焼排ガス量と乾き燃焼排ガス量は、何が違うか。
水蒸気を含むかどうかです。湿りは燃料中の水素から生じた水蒸気を含めた量、乾きはそれを除いた量です。この設問では水蒸気が全体の1割以上を占めるため、取り違えると答えが大きくずれます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月