平成29年度 公害防止管理者 大気特論 問3を解説|排ガス組成から求める空気比
平成29年度 大気特論 問3は、水分を除いた排ガスの分析値から空気をどれだけ多めに送っていたかを逆算する計算問題です。
この問題のポイント
燃やしたあとのガスに残っている酸素と窒素の割合が与えられ、そこから理論上必要な空気量に対する実際の空気量の比を求めます。分かれ目は、何を物差しにして逆算するかです。残った酸素だけを見る簡易式は覚えやすい一方で、燃料に水素が多いと値がずれます。窒素を軸に組み立てれば、燃料の種類が分からなくても正しい答えにたどり着きます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(空気比 1.20)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 1.16。窒素を軸に立てた関係式の結果より小さく、与えられた組成とは合いません。 |
| (2) | ○ | 1.20。窒素全体を、理論空気に由来する分と余剰空気に由来する分に切り分けると、ちょうどこの値になります。これが正解です。 |
| (3) | × | 1.24。残存酸素だけを使う簡易式で計算すると、この値になります。用意された最大の落とし穴です。 |
| (4) | × | 1.28。空気を送りすぎている状態にあたりますが、この組成からは導けません。 |
| (5) | × | 1.32。残存酸素がこの水準まで上がるには、酸素の割合がもっと大きく出ている必要があります。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 手順1 前提の確認 | 完全燃焼なので一酸化炭素は残らず、排ガスの窒素はすべて送り込んだ空気に由来します。 | — |
| 手順2 空気の内訳比 | 空気は体積で窒素79に対し酸素21。酸素1に窒素が約3.76付き添う関係になります。 | 79 ÷ 21 ≒ 3.76 |
| 手順3 余剰空気の窒素 | 燃え残った酸素4.03に付き添って入ってきた窒素の量を出します。 | 4.03 × 3.76 ≒ 15.2 |
| 手順4 理論空気の窒素 | 窒素の総量から手順3を引くと、理論空気として使い切った分の窒素が残ります。 | 90.93 − 15.2 ≒ 75.8 |
| 手順5 空気比 | 実際に送った空気と理論空気の比は、そのまま窒素どうしの比になります。 | 90.93 ÷ 75.8 ≒ 1.20 |
ここが分かれ目
空気比を残存酸素だけから出す簡易式は、21から酸素の割合を引いた値で21を割るというものです。この設問の数字を入れると1.24付近になり、選択肢(3)にぴたりと重なります。よく使う式なのに、ここでは正解になりません。
理由は、この簡易式が乾き排ガスの体積と送り込んだ空気の体積がほぼ等しいことを前提にしているからです。炭素が燃えると同じ体積の二酸化炭素になるので体積は釣り合いますが、水素が燃えてできるのは水蒸気で、乾き排ガスからは抜けてしまいます。すると乾き排ガスは空気より少なくなり、酸素の割合が実際より高く出て、空気比を大きく見積もることになります。設問の組成は水素分の多い気体燃料を示しており、まさにこのずれが効く条件です。
その点、窒素は燃焼で増えも減りもしないので、燃料の種類にかかわらず信頼できる物差しになります。窒素の総量を、理論空気として消費された分と余った空気に付いてきた分に切り分けるだけで、空気比がそのまま比として出てきます。燃料組成が示されていない設問では、この立て方を選んでください。
覚え方
- 空気比=実際に送った空気 ÷ 理論空気。燃料が分からない設問では窒素を物差しにする。
- 空気の内訳は体積で窒素79対酸素21。余った酸素1に対し窒素が約3.76付いてくる。
- 残存酸素だけの簡易式は、水素分の多い燃料では空気比を大きめに外す。乾き排ガスから水蒸気が抜けるため。
- 完全燃焼と書いてあれば一酸化炭素はゼロ。未燃分の補正を考えなくてよい合図。
理解度チェック
乾き排ガスの分析値から空気比を求めるとき、窒素を軸にするとよいのはなぜか。
窒素は燃焼に関与せず、量が変わらないからです。排ガス中の窒素はすべて送り込んだ空気に由来するので、これを理論空気分と余剰空気分に切り分ければ、燃料の組成が分からなくても空気比が出せます。
残存酸素だけを使う簡易式が、水素分の多い燃料でずれるのはなぜか。
水素が燃えてできる水蒸気が乾き排ガスから除かれるためです。乾き排ガスの体積が空気より小さくなり、そのぶん酸素の割合が高く出るので、空気比を実際より大きく見積もってしまいます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月