平成28年度 公害防止管理者 大気特論 問8を解説|スート混合方式とスート分離方式の違い
平成28年度 大気特論 問8は、石灰系のスラリーでSO2を吸収する湿式の脱硫装置に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
吸収剤の濃さ、2種類の吸収剤の反応の速さ、集じん装置との組合せ方、酸化をどこで行うかという4つの論点が並びます。引っかけの核心は組合せ方のところにあり、ばいじんを含んだまま塔へ入れる方式について「塔では取れない」と言い切っている点です。入れた以上そこで洗い落とされるのは当然で、取れないのではなく、取れてしまうことが困るという向きに読み替えられるかが分かれ目になります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 1割前後の濃さで懸濁させるのが標準です。薄すぎると循環量がかさみ、濃すぎると配管が詰まりやすくなります。 |
| (2) | ○(正しい) | 溶けた分だけが反応に使えます。水によく溶ける消石灰では反応が速く進みます。 |
| (3) | ○(正しい) | 先に集じん装置で灰を落としてから塔へ送る組み方です。副産物に灰が混ざらず、品質が上がります。 |
| (4) | ×(誤り) | 灰を含んだまま塔へ入れるので、塔の中で灰も一緒に洗い落とされます。取れないという説明は逆です。 |
| (5) | ○(正しい) | 塔の下で酸化まで済ませると吸収剤が溶けて働きやすく、少ない吸収剤でも高い除去率を保てます。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
2つの組み方の違いは、灰を塔の手前で落とすか、塔まで一緒に連れていくかという一点に尽きます。連れていく組み方では、塔は脱硫の装置であると同時に、水を浴びせて粒子を捕らえる集じんの装置としても働きます。塔では灰が取れないという説明は事実と逆で、取れるからこそ問題が起こります。
何が問題かというと、副産物です。落ちた灰はスラリーの中に混ざり込み、そのまま副産物の結晶に取り込まれてしまいます。副産物を建材などの原料として売るつもりなら、灰が混ざった時点で価値が下がります。だから副産物の品質を優先するなら、手前で灰を落とす組み方を選びます。
逆に、副産物を売らずに処分するのであれば、手前に高性能な集じん装置を据える必要はありません。装置が1つ減るぶん設備も配置も簡素になり、費用も抑えられます。つまり副産物の品質と設備の簡素さのどちらを取るかという選択であって、性能の優劣ではありません。この位置づけを押さえておくと、どちらの方式が問われても答えられます。
覚え方
- 混合はばいじんごと塔へ、分離は手前で集じん。混合で取れないのではなく、取れて副産物に混ざる。
- 副産物を売るなら分離、設備を簡素にするなら混合。性能ではなく目的で選ぶ。
- SO2を捕らえる速さは消石灰が速く、石灰石は遅い。溶けやすさの差がそのまま速さの差になる。
- 安く手に入るのは石灰石。速さを取るか価格を取るかで使い分ける。
- 塔の下で酸化まで済ませる方式は、吸収剤を絞っても除去率が落ちにくい。
理解度チェック
ばいじんを含んだ排ガスをそのまま吸収塔へ送ると、副産物の品質はなぜ下がるのか。
吸収塔が集じん装置としても働いてしまうからです。落ちたばいじんはスラリーに混ざり、副産物の結晶に取り込まれます。原料として売る場合は、この混入が品質低下になります。
石灰石と消石灰では、SO2を速く吸収できるのはどちらか。
消石灰です。反応に使えるのは液に溶けた分だけなので、水によく溶ける消石灰が速く反応します。石灰石は反応こそ遅いものの、安く大量に手に入る利点があります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月