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平成28年度 公害防止管理者 大気特論 問7を解説|SO3はSO2に対してどれだけできるか

平成28年度 大気特論 問7は、排ガスが冷えたときに起こる硫酸による腐食とその防ぎ方に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

燃料の硫黄が酸化して三酸化硫黄になり、水蒸気と結んで硫酸になり、冷えた金属面で凝縮する――という一本の筋が土台です。防ぎ方も、持ち込む硫黄を減らす、三酸化硫黄をつくらせない、できたものを捕まえる、面を冷やしすぎない、の4方向に整理できます。引っかけの核心は仕組みではなく量の感覚で、三酸化硫黄がどれほどの割合で生じるのかという1点だけが桁違いに書かれています。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)さらに酸化まで進むのはごく一部で、数%の水準です。1割という量には達しません。
(2)○(正しい)流れに偏りがあると冷えやすい場所ができます。そこだけ露点を割れば、その部分から腐食が始まります。
(3)○(正しい)余っている酸素が少ないほど、さらに酸化する反応が進みにくくなります。硫酸のもとが減ります。
(4)○(正しい)持ち込む硫黄そのものを減らせば、下流のすべてが減ります。最も直接的な対策です。
(5)○(正しい)塩基性を示す粉体を吹き込むと、酸性の三酸化硫黄が捕らえられ、中和されます。露点も下がります。

選択肢(1)のポイント(ここが誤り)

燃料に含まれる硫黄は、燃えるとほぼすべてが二酸化硫黄になります。そこからさらに酸素と結び付いて三酸化硫黄まで進むのは、条件がそろったごく一部だけです。実際の排ガスで測っても数%の水準にとどまり、1割という量には届きません。設問はこの割合を一桁分ふくらませており、そこが誤りです。

ところが、量が少ないからといって軽く見てはいけません。三酸化硫黄は排ガス中の水蒸気とただちに結び付いて硫酸の蒸気になり、この硫酸がわずかに混ざるだけで、排ガスが露をつくり始める温度は大きく押し上げられます。濃度としてはごく微量でも、腐食が始まる温度を跳ね上げるのが三酸化硫黄の厄介なところです。「量は少ないが影響は大きい」と覚えると、この問題の主張と実際のふるまいが両立します。

三酸化硫黄が増えるのは、余分な酸素が多いとき、ガスの温度が高いとき、そして灰の中に酸化を助ける成分があるときです。だから選択肢(3)の低い酸素で運転するという対策が効きます。ただし空気を絞りすぎると不完全燃焼に振れるので、すすが出ない範囲でできるだけ酸素を下げるという運転点の探し方になります。防ぎ方の最後の一手は温度で、伝熱面を露点より高く保てば、たとえ硫酸があっても凝縮しません。

覚え方

  • 燃料の硫黄はほぼ全部が二酸化硫黄になり、さらに酸化まで進むのは数%だけ。1割には届かない。
  • 三酸化硫黄+水蒸気=硫酸の蒸気。微量でも露点を大きく押し上げる。量と影響を切り離して覚える。
  • 三酸化硫黄が増える条件は、酸素が多い・温度が高い・灰に酸化を助ける成分がある、の3つ。
  • 減らす手は3つ。硫黄分が少ない燃料、酸素を絞った運転、塩基性の粉体の吹込み。
  • 凝縮させない手は温度。伝熱面を露点より高く保てば、硫酸があっても付かない。

理解度チェック

Q.

酸素を絞った運転が低温腐食に効くのはなぜか。

余っている酸素が少ないほど、二酸化硫黄がさらに酸化される反応が進みにくいためです。三酸化硫黄が減れば硫酸も減り、露点が下がって凝縮しにくくなります。ただし絞りすぎは不完全燃焼を招きます。

Q.

排ガス中の硫酸はごく微量なのに、なぜ腐食が問題になるのか。

微量でも露をつくり始める温度を大きく押し上げるからです。伝熱面がその温度を下回ると硫酸が液になって金属に触れ、強い酸として腐食を進めます。量ではなく温度で効いてくる現象です。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF