平成28年度 公害防止管理者 大気特論 問5を解説|空気が足りないとき火炎の長さはどう変わるか
平成28年度 大気特論 問5は、油を霧にして燃やす装置の日常の運転管理と不具合の見立てに関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
空気の入れ方、壁への付着物、過剰空気の目安、炎のふるまい、先端部の詰まりという5つの現場的な話題が並びます。どれも実務では別々の症状ですが、判定の軸は1つで、油滴が燃え切るまでにどれだけ時間と距離を要するかです。引っかけの核心は炎の長さの向きにあり、空気を絞ったときに炎が縮むのか伸びるのかを直感で答えると外します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 空気は霧の出口を取り巻くように入ります。入り方が偏ると火が着く位置が定まらず、炎がふらつきます。 |
| (2) | ○(正しい) | 霧が粗いと大きな油滴が燃え残ったまま飛び、壁に当たって固まります。壁の付着物は霧化不良のサインです。 |
| (3) | ○(正しい) | 霧にして燃やす方式では、理論量より1割から2割ほど多い空気で運転するのが標準です。妥当な目安です。 |
| (4) | ×(誤り) | 空気が足りないと燃え切るまでに距離が要るため、炎はむしろ長く伸びます。向きが逆です。 |
| (5) | ○(正しい) | 油そのものを高圧で細い孔から噴き出させる方式は、孔が小さいぶん詰まりやすくなります。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
炎の長さは、おおまかに「燃え切るまでにかかる時間」と「ガスが流れる速さ」の掛け算で決まります。空気が足りない状態では、油滴のまわりに反応に使える酸素が十分になく、燃焼が進むのに時間がかかります。その間もガスは奥へ流れていくので、燃焼が終わる場所はバーナーから遠ざかります。つまり空気を絞ったときに炎が短くなることはありません。逆に空気を増やせば混ざりが早く進み、炎は短く締まります。
この向きを取り違えると、現場の見立ても逆になります。炎が伸びてきた、先端がゆらいで暗くなってきた、煙突から黒い煙が出た――これらはいずれも空気不足を疑う場面です。伸びた炎が燃焼室に収まりきらなくなると、燃え残りが後ろの伝熱面まで運ばれ、すすや炭化物として堆積します。放置すれば熱の伝わりが悪くなり、詰まりや腐食の下地にもなります。
ただし空気を増やせば増やすほど良いわけではありません。余分な空気は炉の中の温度を下げ、そのまま煙突から熱を持ち去るので、効率が落ちます。だから必要な最小限より少しだけ多い空気という運転点があり、それが選択肢(3)の目安です。炎の長さを見ながらこの点を探すのが、日常管理の勘どころになります。
覚え方
- 空気不足は炎が伸びてすすが出る。空気過多は炎が縮んで効率が落ちる。長さの向きを逆に覚えない。
- 炎の長さ=燃え切るまでの時間×ガスの速さ。酸素が乏しいほど時間が延び、炎も伸びる。
- 霧にして燃やす方式の過剰空気は1割から2割が目安。気体燃料より多く、粉にした石炭より少ない。
- 壁の炭化物は霧化不良のサイン。先端部の孔、油の温度、油の圧力を順に疑う。
- 油だけを高圧で噴き出す方式は孔が詰まりやすい。蒸気や空気で吹き飛ばす方式のほうが詰まりにくい。
理解度チェック
炎が普段より長く伸び、黒い煙が出るようになった。まず何を疑うか。
燃焼用空気の不足です。酸素が足りないと燃え切るまでに距離が要るので炎が伸び、燃え残った炭素分がすすとして出ます。送風量とダンパの開度をまず確認します。
燃焼室の側壁に炭化物が付くのはなぜか。
霧が粗く、大きな油滴が燃え切らないまま飛んで壁に当たるためです。油滴は大きいほど蒸発に時間がかかるので、霧化が悪いと未燃のまま遠くまで届きます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月