平成28年度 公害防止管理者 大気特論 問3を解説|単位の違う2燃料を同時に燃やすときの所要空気量
平成28年度 大気特論 問3は、性質の違う2つの燃料を1本のバーナーで同時に燃やすときに送り込むべき空気の量を求める計算問題です。5つの数値から正しいものを選びます。
この問題のポイント
片方の燃料は重さで、もう片方は標準状態の体積で与えられます。単位が違うので、そのまま足すことはできません。両方をいったん「燃やすのに要る酸素の体積」という共通の物差しに直してから合算するのが筋道です。引っかけの核心は、余分に送る空気の扱いです。実際に必要な量を出すには、合算した酸素から求めた理論空気量に対して、最後にまとめて空気比を掛けます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(473 m3N/h)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 463。逆算すると酸素の合計を81程度と置いた値にあたります。正しい合計より少なく、この組成からは出ません。 |
| (2) | ○ | 473。液体側と気体側の酸素を足して約82.8とし、空気に直してから空気比を掛けると、この値になります。これが正解です。 |
| (3) | × | 483。酸素の合計を84.5程度と置いた値です。正解の1つ上に並ぶ、丸め違いを拾うための数字です。 |
| (4) | × | 493。酸素の合計を86程度と置かないと届きません。正しい手順では出てこない値です。 |
| (5) | × | 503。5つの中で最大で、酸素の合計は88程度になります。水素を分子に直さずに数えると、この付近まで膨らみます。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 液体側の内訳 | 1時間に10 kg燃やすので、炭素は 10×0.89=8.9 kg、水素は 10×0.11=1.1 kg。 |
| 手順2 物質量に直す | 炭素は 8.9÷12=0.742 kmol。水素は2個で1分子なので 1.1÷2=0.55 kmol。 |
| 手順3 液体側の酸素 | 炭素は同じ物質量、水素はその半分の酸素を使う。0.742+0.55÷2=1.017 kmol。標準状態の体積に直して 1.017×22.4≒22.8 m3N。 |
| 手順4 気体側の酸素 | この気体は1に対して2の割合で酸素を使うので、30×2=60 m3N。体積のまま扱える。 |
| 手順5 酸素を合算 | 22.8+60=82.8 m3N。ここで初めて2つの燃料が1つの数にまとまる。 |
| 手順6 理論空気量にする | 空気に含まれる酸素は体積で0.21。82.8÷0.21≒394 m3N。 |
| 手順7 空気比を掛ける | 394×1.2≒473 m3N。これが1時間あたりに送り込む空気の量。 |
ここが分かれ目
この計算でつまずくとしたら、ほぼ手順3と手順4のつなぎ目です。液体側は重さから物質量へという一段を踏まないと体積の世界に入れませんが、気体側は最初から体積で与えられているので、その一段が要りません。同じ「30」という数字でも、重さの30と標準状態の体積の30ではまったく別物です。片方の手順をもう片方にも当てはめようとした瞬間に答えは合わなくなります。
水素の扱いも落とし穴です。組成は元素としての重さで与えられますが、燃焼の式は分子で書かれています。水素は2個で1分子になるので、重さを2で割ったものが分子の数にあたり、その半分の酸素を使います。元素の重さをそのまま分子の数として扱うと、酸素が倍近く出てしまいます。
最後に、空気比を掛ける相手を間違えないでください。掛けるのは理論空気量であって、酸素の量でも燃料の量でもありません。もっとも、酸素の合計に先に掛けてから0.21で割っても結果は同じですから、順番そのものより「一度だけ掛ける」ことのほうが大事です。二重に掛けたり、掛け忘れたりすると、選択肢の中の別の数字に近づいてしまいます。
覚え方
- 単位の違う燃料を混ぜて燃やす問題は、まず全部を必要な酸素の体積に揃える。足すのはそのあと。
- 液体・固体は重さ→物質量→酸素。気体は体積のまま係数を掛けるだけ。踏む段数が違う。
- 元素の水素は2個で1分子。重さを2で割ってから、その半分の酸素を使うと数える。
- 空気に含まれる酸素は体積で0.21。酸素を0.21で割れば理論空気量になる。
- 空気比は理論空気量に最後に一度だけ掛ける。燃料ごとに掛けても結果は同じだが、二重掛けに注意。
理解度チェック
重さで与えられた燃料と体積で与えられた燃料を同時に燃やすとき、何を共通の物差しにすればよいか。
燃やすのに必要な酸素の量です。液体や固体は組成から物質量を出し、気体は反応の係数を掛けるだけで、どちらも酸素の体積に直せます。ここまで揃えて初めて足し算ができます。
燃料の組成が元素ごとの質量割合で与えられているとき、水素分に必要な酸素はどう数えるか。
まず重さを2で割って分子の数に直し、さらにその半分の酸素を使う、と数えます。水素は2個で1分子になり、1分子あたり半分の酸素で水になるためです。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月