平成28年度 公害防止管理者 大気特論 問2を解説|石炭化が進むと燃料比はどちらへ動くか
平成28年度 大気特論 問2は、石炭の性質と使い分けに関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
熱量の比べ方、コークス用に向く炭の種類、灰の中身、可燃分の元素、そして炭化の進み具合を表す指標という5方向から石炭を問います。前の4つは知識として素直に判定できるので、勝負は最後の指標の向きです。この指標は固定炭素を揮発分で割った比なので、分子が増えて分母が減れば当然大きくなる、という割り算の形さえ思い出せれば迷いません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 水分と灰を除いた可燃分だけで比べる土俵です。炭化がより進んだ歴青炭のほうが熱量は大きくなります。 |
| (2) | ○(正しい) | 加熱すると軟化してから固まり、塊のまま焼き上がる炭が要ります。粘結性の強い炭が向きます。 |
| (3) | ○(正しい) | 灰はもとの植物や混入した土砂に由来し、けい素とアルミニウムの酸化物が主役になります。 |
| (4) | ○(正しい) | 可燃分は炭素・水素・酸素・窒素・硫黄で構成されます。酸素は炭化が進むほど減りますが、なくなりはしません。 |
| (5) | ×(誤り) | 揮発分が抜けて固定炭素の割合が上がるので、燃料比は大きくなります。向きが逆です。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
燃料比は、固定炭素を揮発分で割った値です。石炭が地中で長い時間をかけて変化していく過程は、簡単にいえば水分と揮発しやすい成分が抜けて、炭素の骨格だけが濃く残っていく過程です。分子である固定炭素は増え、分母である揮発分は減るのですから、比は増える一方になります。この比が減るという向きは、割り算の形と矛盾します。
燃料比が大きい石炭は、火をつけるきっかけになる可燃性ガスをあまり出さないので着火しにくく、燃え切るまでにも時間がかかります。逆に炭化の浅い石炭は揮発分が多く、火はつきやすいものの水分と酸素を多く抱えるため、そのままの状態で比べた熱量は低くなります。つまり燃料比は炭化の進み具合そのものを表す物差しであり、燃焼装置の選び方や燃やしにくさの見積もりにも直結します。
なお選択肢(1)の土俵に注意してください。水分も灰も含んだままの熱量で比べると、産地や保管状態の影響が大きく出て順位が乱れます。水分と灰を除いた可燃分だけで比べると決めているからこそ、炭化の進み具合と熱量の関係がきれいに現れます。
覚え方
- 燃料比=固定炭素÷揮発分。炭化が進むほど大きくなる。割り算の形を思い出せば向きは間違えない。
- 燃料比の大きい石炭は着火しにくく燃え切るのが遅い。小さい石炭は火がつきやすいが煙が出やすい。
- 熱量を石炭どうしで比べるときは、水分と灰を除いた可燃分の土俵に揃える。
- コークス用は粘結性の強い炭。加熱で軟らかくなってから固まる性質が要る。
- 石炭灰の主役はけい素とアルミニウムの酸化物。可燃分の元素には酸素も入っている。
理解度チェック
燃料比が大きい石炭は、着火しやすいか。
着火しにくい石炭です。燃料比が大きいということは揮発分が少ないということで、加熱されたときに火種となる可燃性ガスをあまり放出しないためです。燃え切るまでの時間も長くなります。
石炭の熱量を比べるとき、可燃分だけの土俵に揃えるのはなぜか。
水分と灰は燃えずに熱を奪うだけの重りで、その量は産地や保管状態で大きく変わるからです。重りを外して比べることで、炭化の進み具合と熱量の関係が素直に現れます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月