平成28年度 公害防止管理者 大気特論 問1を解説|油種による性状の向き(重い留分ほど何が上がるか)
平成28年度 大気特論 問1は、油の種類ごとに性質を表す値を2つ並べ、どちらが大きいかを示した正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
5本の不等号のうち、向きが逆さになっているものを1本だけ探します。並んでいる値は密度・沸点・耐ノック性・粘り・硫黄分とばらばらに見えますが、実際は「原油を蒸留したときにどれだけ後から出てくる留分か」という一本の軸でほとんど決まります。引っかけの核心は、灯油と軽油のどちらが後から出てくる重い留分かという一点で、名前の印象に引きずられると、この1本だけを取り違えます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | ガソリンは最も早く留出する軽い留分で、密度は小さくなります。示された向きどおりです。 |
| (2) | ×(誤り) | 灯油より軽油のほうが後から留出する重い留分で、高い側の端も軽油が上に伸びます。向きが逆です。 |
| (3) | ○(正しい) | JISのガソリンは1号のほうが耐ノック性の規格値が高い側で、2号はその下に置かれます。示された向きどおりです。 |
| (4) | ○(正しい) | JISの重油は種別の番号が大きいほど重質でよく粘ります。1種より3種のほうが粘度は大きくなります。 |
| (5) | ○(正しい) | 硫黄は重質な留分に残りやすく、蒸留の残りかすを主体とする重油のほうが多く含みます。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
原油を蒸留すると、沸点の低いものから順に取り出されます。おおまかにはガソリン、ナフサ、灯油、軽油と続き、最後に釜に残った重い成分が重油になります。灯油と軽油は隣り合う関係で、軽油のほうが一段あとに、より高い温度で留出するのがその順序です。したがって沸点の範囲も、灯油が低い側、軽油が高い側に位置します。両者の範囲は一部重なりますが、高い側の端は軽油のほうが明らかに上に伸びるので、軽油の上限を灯油より低いとする向きは成り立ちません。
取り違えの原因は名前です。「軽油」の軽という字は、あくまで重油と比べて軽いという意味であって、灯油より軽いという意味ではありません。字面から灯油より軽い留分だと思い込むと、密度も粘度も沸点も、すべて逆向きに覚えてしまいます。名前ではなく蒸留の順番で並べる癖をつけてください。
この軸を持っていれば、他の4本も一つずつ確かめる必要はありません。重い留分ほど密度が大きく、粘度が大きく、沸点が高く、硫黄分も多い。軽い留分はその全部が小さい。性状ごとに別々の知識として覚えると、量が増えるうえに取り違えます。
覚え方
- 留分はガソリン→ナフサ→灯油→軽油→重油の順に重くなる。この一本の軸で密度・粘度・沸点・硫黄分がまとめて決まる。
- 重い留分ほど密度も粘度も沸点も硫黄分も大きい。軽い留分はその全部が小さい。
- 「軽油」の軽は重油に対する軽さ。灯油より軽いという意味ではない。名前ではなく蒸留の順で並べる。
- 重油は種別の番号が大きいほど重く、よく粘る。粘るほど加熱して送る必要が出る。
- ガソリンの号数は向きが逆。1号が耐ノック性の高い側で、2号がその下。
理解度チェック
灯油と軽油では、どちらの沸点の範囲が高い側にあるか。
軽油です。原油の蒸留で灯油より一段あとに留出する重い留分なので、範囲全体が高い温度側に寄り、高い側の端も上に伸びます。
JISの重油で、種別の番号が大きくなるとどのような油になるか。
より重質で、粘度が大きい油になります。番号の大きい重油は常温では流れにくく、送油や霧化のために加熱が必要になります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月