平成30年度 公害防止管理者 大気概論 問8を解説|オゾン層破壊に関与する化合物(四ふっ化炭素は該当しない)
平成30年度 大気概論 問8は、成層圏オゾン層の破壊に関与する化合物を問う問題です。関与するものとして挙げるのが誤っている化合物を選びます。
この問題のポイント
オゾン層を壊す物質かどうかは、名前の響きや用途ではなく分子の中に塩素または臭素を持っているかで決まります。この問題は、その一本の物差しで五つの化合物を仕分けられるかを見る出題です。分かれ目は、地球環境への影響が語られる有名なガスであっても、オゾン層破壊と温暖化はまったく別の作用だと切り分けられるかどうかです。「環境に悪いガス=オゾン層を壊す」とまとめてしまうと足をすくわれます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | フロン-12は分子内に塩素を持ち、成層圏で塩素原子を放って破壊に関与します。 |
| (2) | ○(正しい) | ハロンは臭素を含む消火剤用のガスで、臭素原子によりオゾンを壊します。 |
| (3) | ○(正しい) | 1,1,1-トリクロロエタンは塩素を含む溶剤で、オゾン層破壊物質として規制されてきました。 |
| (4) | ×(誤り) | 四ふっ化炭素は塩素も臭素も含まず、オゾン層破壊には関与しません。これが正解です。 |
| (5) | ○(正しい) | 四塩化炭素は塩素を多く含み、オゾン層破壊物質として使用が規制されています。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
オゾン層破壊は、成層圏まで到達した化合物が強い紫外線で分解し、放たれた塩素原子や臭素原子が触媒のようにはたらいてオゾンを次々と壊す反応です。触媒役はオゾンを壊しても自分は消費されずに残るため、少量でも長く効き続けます。したがって、分子内に塩素も臭素も持たない化合物は、この反応の引き金を引けません。
四ふっ化炭素は炭素とふっ素だけからなる化合物で、まさにその塩素・臭素を持たない側にあります。分解しにくく大気中に長くとどまる性質と強い温室効果をあわせ持つため、地球環境の問題としては確かに重要な物質ですが、温室効果が強いことをオゾン層破壊の証拠と読み替えると誤ります。この肢は、その混同を誘う作りになっています。
裏を返せば、他の四つはいずれも塩素か臭素を抱えています。名前に「クロロ」「塩化」とあれば塩素、「ブロモ」やハロンとあれば臭素だと見当がつくので、化学式を覚えていなくても仕分けは可能です。
覚え方
- オゾン層を壊す犯人は塩素と臭素。ふっ素だけの化合物は破壊に関与しない。
- 名前で見分ける。クロロ・塩化=塩素あり、ブロモ・ハロン=臭素あり。
- オゾン層破壊と温室効果は別の作用。強い温室効果ガスでもオゾン層破壊物質とは限らない。
- 放たれた塩素・臭素原子は触媒としてはたらき、消費されずにオゾンを壊し続ける。
理解度チェック
ある化合物がオゾン層破壊に関与するかどうかは、何を見て判断するか。
分子内に塩素または臭素を含むかどうかです。成層圏で紫外線により分解して放出された塩素原子・臭素原子が、触媒としてオゾンを壊します。
四ふっ化炭素は地球環境の問題としてどう位置づけられるか。
塩素も臭素も含まないためオゾン層破壊物質ではありませんが、分解されにくく大気中に長くとどまる強力な温室効果ガスとして扱われます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大気概論 問題」(公式PDF)
- オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書/特定物質等の規制等によるオゾン層の保護に関する法律
- 環境省「オゾン層保護対策」関連資料
※ この記事の確認日:2026年7月