平成30年度 公害防止管理者 大気概論 問7を解説|生物活動が生成・放出する大気成分(CFCは人工物質)
平成30年度 大気概論 問7は、陸域や水域の動植物・微生物の活動によって生成・放出される大気成分を問う問題です。当てはまらない、誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
大気中の微量成分には、自然界の生き物の営みから出てくるものと、人間が工業的につくり出したものがあります。この問題は、名前の並んだ物質を生物起源か人工起源かで仕分けられるかを確かめる出題です。分かれ目は、温暖化やオゾン層破壊の文脈でよく一緒に語られる物質が並んでいるために、環境問題に関係するという共通点だけで「自然界にもありそうだ」と流してしまう点にあります。話題の近さではなく、その物質がどこで生まれるかで判断します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | メタンは、湿地や水田のような酸素の乏しい環境の微生物、反すう動物の消化などから放出されます。 |
| (2) | ○(正しい) | 一酸化二窒素は、土壌微生物による硝化・脱窒の過程で生じ、大気へ出ていきます。 |
| (3) | ×(誤り) | クロロフルオロカーボンは人工的に合成された化合物で、生物の活動から生成・放出されるものではありません。これが正解です。 |
| (4) | ○(正しい) | アンモニアは、家畜のふん尿や土壌中の有機物の分解にともなって大気へ放出されます。 |
| (5) | ○(正しい) | イソプレンは植物が葉から放出する炭化水素で、代表的な生物起源の揮発性有機化合物です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
クロロフルオロカーボン(CFC)は、炭素・塩素・ふっ素からなる工業的に合成された化合物です。冷媒や発泡剤、洗浄剤として20世紀に大量に製造・使用されるようになった物質で、自然界の動植物や微生物がつくり出すものではありません。生き物の代謝からCFCが生じる経路は存在せず、大気中にあるCFCはもとをたどれば人間が放出したものです。
この肢が紛らわしいのは、並んでいる他の物質がいずれも地球環境問題の主役級で、CFCも同じ文脈で語られるためです。しかし「温暖化やオゾン層破壊に関わる」ことと「生物が出す」ことは無関係で、環境問題での知名度を発生源の話にすり替えると誤答します。メタン・一酸化二窒素・アンモニア・イソプレンには、微生物の代謝や動物の消化、植物の生理という具体的な発生の場が思い浮かびますが、CFCにはそれがありません。
覚え方
- 生物起源の代表=メタン(湿地・水田・反すう動物)、一酸化二窒素(土壌微生物)、アンモニア(家畜・土壌)、イソプレン(植物)。
- 名前に「フルオロ」「クロロ」が付く合成ガスは人工起源。自然の発生源を持たない。
- 「環境問題で有名かどうか」と「発生源が自然か人工か」は別の軸。物質ごとに発生の場面を思い浮かべて仕分ける。
理解度チェック
メタンと一酸化二窒素は、それぞれどのような生物の営みから大気に放出されるか。
メタンは湿地や水田など酸素の乏しい環境での微生物の分解や、牛などの反すう動物の消化から放出されます。一酸化二窒素は土壌微生物による硝化・脱窒の過程で生じます。
クロロフルオロカーボンが生物起源の大気成分に含まれないのはなぜか。
冷媒や発泡剤などの用途で工業的に合成された人工化合物だからです。動植物や微生物の代謝で生成する経路はなく、大気中の存在量はすべて人間の活動に由来します。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大気概論 問題」(公式PDF)
- 環境省「地球環境・国際環境協力」(温室効果ガス・オゾン層保護関連資料)
※ この記事の確認日:2026年7月