1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 大気概論
  4. 平成29年
  5. > 問7 酸性雨

平成29年度 公害防止管理者 大気概論 問7を解説|酸性雨(硫黄側の酸化は窒素側より遅い)

平成29年度 大気概論 問7は、雨や雲を酸性化させる大気中の反応と、その落ち方に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

この問題は、二酸化硫黄と二酸化窒素が大気中で酸に変わり、粒子になったり雨に取り込まれたりする一連の流れを追う正誤問題です。引っかけの核心は反応の速さの比較にあり、二つの経路のどちらが速いかを逆にした肢が紛れています。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)酸性化を担う主役は硫酸イオンと硝酸イオンで、成分分析でもこの2つが中心になります。
(2)○(正しい)硫酸は排出された二酸化硫黄が大気中で酸化されてできるもので、二次汚染物質にあたります。
(3)×(誤り)酸化の速さは窒素側の方が速く、硫黄側の方が遅く進みます。大小関係が逆です。
(4)○(正しい)できた硫酸はアンモニアと中和して硫酸塩の粒子となり、エーロゾルとして漂います。
(5)○(正しい)雲粒や雨滴に取り込まれて地表へ落ちる経路を湿性沈着と呼びます。定義のとおりです。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

二酸化窒素は大気中のヒドロキシラジカルと出会うと一段で硝酸になり、反応は速やかに進みます。これに対して二酸化硫黄から硫酸への変化は、気相での酸化に加えて、雲粒の中で過酸化水素やオゾンと反応する液相の経路にも頼るため、全体としてはゆっくり進みます。この速さの差が、硫黄化合物が遠くまで運ばれて広域の酸性化を起こす理由にもなっています。

選択肢(3)は、硫黄側の酸化の方が速いとして大小関係を逆にしている点が誤りです。速い反応ほど発生源の近くで決着し、遅い反応ほど風下へ広がるという結び付きで覚えると、記述の向きを取り違えにくくなります。硫黄は遅くて遠くまで、窒素は速くて近くでという対比が、この分野を通じて使える整理です。

なお酸が地表に達する道筋には、雨や雲に取り込まれて落ちる湿性沈着のほかに、ガスや粒子のまま地表面に付く乾性沈着があります。両方あわせて酸性沈着と呼ばれるので、湿性だけが酸性雨の経路ではない点にも注意してください。

覚え方

  • 酸化の速さは窒素側が速く、硫黄側が遅い。遅い硫黄は遠くまで運ばれる。
  • 硫酸も硝酸も排出された気体からできる二次生成物。出た瞬間に酸なのではない。
  • 硫酸とアンモニアが中和して粒子になる。エーロゾルは酸性雨と微小粒子をつなぐ接点。
  • 沈着は湿性と乾性の2本立て。雨だけを見て終わらせない。

理解度チェック

Q.

二酸化硫黄から硫酸への酸化と、二酸化窒素から硝酸への酸化では、どちらが速いか。

二酸化窒素から硝酸への酸化の方が速く進みます。硫黄側は遅いため、遠くまで運ばれてから沈着します。

Q.

湿性沈着とは何か。

生成した硫酸や硝酸が雲や雨に取り込まれて地表に降下することです。ガスや粒子のまま付着する乾性沈着と対になります。

平成29年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気概論 問題」(公式PDF
  • 大気汚染防止の技術と法規(大気概論 酸性雨・酸性沈着の基礎)