平成29年度 公害防止管理者 大気概論 問3を解説|ベンゼン等の環境基準(達成期間に年数の定めはない)
平成29年度 大気概論 問3は、有害大気汚染物質のうち環境基準が置かれた物質について、その基準の性格を述べた告示の一節を題材に、下線を付した5か所のうち誤っているものを選ぶ問題です。
この問題のポイント
この問題は、健康被害を未然に防ぐという目的で置かれた環境基準について、その趣旨を述べた文言が正しく再現されているかを問う下線部問題です。引っかけの核心は文の締めくくりにあり、本来は努力の方向を示すだけの部分に、年数で区切った期限が差し込まれています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各下線部の正誤
| 下線 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 長い間吸い込み続けた場合を想定した基準であることを述べており、告示の趣旨のとおりです。 |
| (2) | ○(正しい) | 対象を健康を損なうおそれのある物質としており、有害大気汚染物質の定義の考え方と一致します。 |
| (3) | ○(正しい) | 現在だけでなく先々まで見据えるという時間の幅を示す部分で、告示の文言どおりです。 |
| (4) | ○(正しい) | 被害が出てから対処するのではなく未然に防ぐという、この基準の中心にある考え方です。 |
| (5) | ×(誤り) | この基準に年数で区切った達成期間の定めはありません。維持または早期達成に努めるものとされています。 |
下線(5)のポイント(ここが誤り)
環境基準は、達成の道筋の示し方が物質によって違います。従来からの大気汚染物質では、いつまでにどう達成するかが具体的に書かれることがありますが、ベンゼンなどを対象とするこの告示は違います。締めくくりは、基準を維持し、または早期に達成するよう努めるという方向づけであって、期限を切る書き方ではありません。
選択肢(5)は、そこに年数で区切った達成期間があるかのように書き換えている点が誤りです。前半の未然防止という趣旨とも噛み合いません。何年以内という数字は、健康リスクを長期にわたって下げていくという発想とは別の管理の仕方で、この基準にはなじまないからです。具体的な年数が出てきたら、その基準に本当に期限があるのかを疑うのが、この形式での有効な読み方になります。
なお下線(1)から(4)までは、継続的な摂取を前提とすること、健康を損なうおそれのある物質を対象とすること、将来にわたる視点を持つこと、未然防止を旨とすることを順に述べており、いずれも告示の趣旨と一致します。誤りは文末の1か所だけです。
覚え方
- ベンゼン等の環境基準は未然防止が目的、締めくくりは維持または早期達成への努力。期限は切らない。
- 下線部問題で年数や日数が出たら、まずその期限が本当に法令にあるかを確認する。
- 継続的な摂取という前置きは、急性影響ではなく長期の健康リスクを扱う基準の目印。
- 達成期間が具体的に書かれるのは別系統の大気環境基準。基準ごとに書きぶりが違うと押さえる。
理解度チェック
ベンゼン等による大気汚染に係る環境基準は、達成についてどう定めているか。
維持または早期の達成に努めるものとされています。年数で区切った達成期間は定められていません。
この環境基準が旨としている考え方は何か。
健康に係る被害が未然に防止されるようにすることです。継続的な摂取を前提とした長期の健康リスクを扱っています。
※ この記事の確認日:2026年7月