平成28年度 公害防止管理者 大気概論 問6を解説|水銀及びその化合物(指針値と毒性の性格)
平成28年度 大気概論 問6は、水銀が大気の分野でどう位置づけられ、どんな健康影響が問題になるかを問う正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、制度上の位置づけ・目安の置き方・毒性の性格・発生源という4点をまとめて確認する正誤問題です。分かれ目は毒性の性格で、有害大気汚染物質の中には発がん性を根拠に目安が置かれた物質もあるため、その理屈をこの物質にもあてはめてしまうのが引っかけです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 有害大気汚染物質のうち、先に手を打つべきものとして選び出された一群に含まれています。 |
| (2) | ×(誤り) | この物質で主に問題になるのは神経系への作用です。発がん性を強く疑われる物質という整理はされていません。 |
| (3) | ○(正しい) | 環境基準ではなく、健康リスクを下げる目安として1年平均で0.04 µgHg/m³という値が示されています。 |
| (4) | ○(正しい) | 継続して行われている監視では、目安を超える地点は出ていません。 |
| (5) | ○(正しい) | 蛍光管や電池などに含まれる水銀が、焼却の熱で気体になって煙とともに出ていきます。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
水銀に置かれた目安は、がんではなく、長く吸い続けたときの神経系などへの影響を根拠に決められています。水俣病を思い出せば、この物質の毒性の主役が神経であることは記憶に残りやすいはずです。発がん性を根拠に環境基準が置かれた代表格はベンゼンで、同じ有害大気汚染物質でも根拠がまったく違います。
もう一点、目安の置き方にも注意が要ります。水銀に定められているのは環境基準ではなく指針値です。指針値は、環境基準を定めるほどには知見が固まっていない段階で、健康リスクを下げるための当面の目安として示されるものです。有害大気汚染物質のうち、環境基準まで定められているのはごく一部で、多くは指針値の段階にとどまります。環境基準か指針値かという区別は、この分野で繰り返し問われる論点です。
覚え方
- 大気側の水銀は環境基準ではなく指針値。1年平均で見る目安。
- 水銀の毒性の主役は神経系。水俣病を手がかりにすれば発がん性と取り違えない。
- 発がん性を根拠にした環境基準の代表はベンゼン。根拠の違いで整理する。
- 大気への出どころとして真っ先に挙がるのはごみの焼却。廃棄物に混ざった水銀が気体になる。
理解度チェック
大気中の水銀に定められているのは、環境基準か指針値か。
指針値です。健康リスクを下げるための当面の目安として、1年平均の値で示されています。
水銀で主に問題になる健康影響は何か。
神経系への影響です。発がん性を根拠に目安が置かれているわけではありません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気概論 問題」(公式PDF)
- 環境省「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(優先取組物質)」「水銀及びその化合物に係る指針値」
※ この記事の確認日:2026年7月