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平成30年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問11を解説|前処理法と分析法の組合せ(揮発するかどうかで決まる)

平成30年度 水質有害物質特論 問11は、測りたい物質ごとに、試料をどう仕込み、どの機器にかけるかという組立てについての組合せ問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

五つの行は、物質名・試料の仕込み方・測定機器という三点セットになっています。組合せ問題ですが、暗記勝負にはなりません。前処理のやり方は、その物質が加熱や通気で気体になるかどうかでほぼ決まるからです。気体になりやすいものは、わざわざ溶媒に移さなくても、気相へ追い出して集めれば済みます。逆に気体になりにくいものは、追い出そうとしても出てこないので、溶媒や吸着材に移し取るしかありません。引っかけは、この二系統を取り違えた行が一つだけ紛れ込んでいる点です。物質名を見た瞬間に「常温で飛ぶ相手か、飛ばない相手か」を判定する習慣をつけておけば、機器の名前を細かく覚えていなくても選べます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている組合せ)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)水になじみやすく気相へ追い出しにくい物質なので、活性炭に吸わせて集めてから機器にかけます。
(2)○(正しい)よく気化する物質なので、密閉容器の上に溜まった気体をそのまま採って注入できます。
(3)○(正しい)有機溶媒に移し取ってから気化させて測る道筋も、この物質では成り立ちます。
(4)○(正しい)熱に弱く気化させにくい農薬なので、固相に捕集して液体を流す機器で分けます。
(5)×(誤り)沸点が高く通気しても気相へ出てこない物質に、気体で追い出す前処理は使えません。

ここが分かれ目

前処理には、大きく分けて二つの発想があります。ひとつは気相へ移して集めるやり方です。試料を密閉容器に入れて、液の上に溜まった気体を採る方式と、試料に不活性なガスを吹き込んで成分を追い出し、吸着管にいったん捕まえてから加熱して送り込む方式がこれにあたります。どちらも溶媒を使わずに済む代わりに、相手が常温付近で気体になれることが絶対の条件です。もうひとつは別の相へ移し取るやり方で、有機溶媒に振り分ける方式、固相の吸着材に通して捕まえる方式、活性炭に吸わせる方式が並びます。こちらは気化しにくい相手でも扱えます。

肢(5)が組み合わせている物質は、常温では油状で沸点が高く、水に吹き込んだ程度の通気では気相へほとんど移ってこない部類です。つまり気体で追い出す前処理は、原理的に成分を回収できません。この物質を測るときは、有機溶媒に抽出して濃縮してから機器にかけるのが本来の道筋です。物質の名前だけを見て「有名な有害物質だから高感度の機器と組み合わせておけば正しそうだ」と考えると、前段の非常識さを見落とします。組合せ問題は、後ろの機器名ではなく前の前処理から確認するのが安全です。

測定機器の側の使い分けも同じ発想でそろえられます。加熱して気体にしても壊れない物質は、ガスを運び役にする機器で分けられます。逆に熱をかけると分解してしまう物質や、そもそも気化しない物質は、液体を運び役にする機器を使います。肢(4)の農薬が液体側の機器と組まれているのはこのためで、前処理で固相に捕まえる選択とも筋が通っています。肢(1)の物質は水になじみやすく、通気では抜けにくい性質があるため、吸着材に吸わせて濃縮する前処理が選ばれます。前処理と機器は別々に覚えるものではなく、「飛ぶか飛ばないか」という一本の軸でつながっていると理解しておくと、初見の組合せでも判断できます。

覚え方

  • 前処理の分かれ目は相手が気体になれるかどうか。なれるなら気相へ追い出し、なれないなら別の相へ移し取る。
  • 気体で追い出す前処理は揮発性の成分専用。沸点の高い物質には使わない。
  • 加熱で気化しても壊れないならガスを運び役にする機器、熱に弱い・気化しないなら液体を運び役にする機器。
  • 水になじみやすく通気で抜けにくい物質は、吸着材に吸わせて濃縮してから測る。
  • 組合せ問題は前処理から検算する。機器名が正しくても前段が破綻していれば誤り。

理解度チェック

Q.

気体で追い出す方式の前処理が使える物質の条件は何か。

常温付近で気相へ移りやすい、揮発性の成分であることが条件です。通気しても液中にとどまる高沸点の物質では成分が回収できないため、溶媒抽出や固相への捕集といった、別の相へ移し取る前処理を選びます。

Q.

熱に弱い農薬の測定で、液体を運び役にする機器が選ばれるのはなぜか。

ガスを運び役にする機器では、試料をいったん加熱して気化させる必要があります。熱で分解してしまう物質ではもとの姿のまま測れないため、常温付近で液のまま分けられる機器を使います。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF